5回目を迎えた「T-VENTURE PROGRAM」(TVP)が新たな広がりを見せた。12月5日に開かれた最終審査会には、韓国のベンチャー企業が参加したほか、高校生のグループが特別枠としてプレゼンテーションを実施。国内外、年齢、さらに個人から大企業を問わず、幅広く企画を募った。
TVPは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が主催するベンチャー支援プログラム。「店舗」「ネットサービス」「データベース・マーケティング」などライフスタイルに関わるあらゆる分野で、CCCグループとコラボレーションできるベンチャー企業を募集している。
受賞企業は、CCCグループが持つリソースを活用し、事業化・サービス化を検討できることが特長。過去の受賞企業は、出資を受けたり、グループ会社化されたりしているほか、受賞に至らなかったものの、後にCCCグループに入社し、ツイートをAIで分析しておすすめのエンタメ作品をピックアップするサービス「TSUTAYA AI」を立ち上げたケースもあり、多面的なサポートを実現している。
2018年は、8月に募集を開始。書類による一次審査、面談による二次審査を経て、最終審査会という流れ。二次審査から最終審査会までは1カ月程度のブラッシュアップ期間を設け、CCCグループ側のメンターとともに企画を磨き上げる。応募数は約150で、過去最多。最終審査会には8組が進んだ。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ 取締役CDBO兼CHROの田代誠氏は「TVPを通じて会社が世の中を変えるのではなく、個人の思いが世の中を変える時代になってきたと感じている。CCCは法人というより『文化を便利に伝えるクラブ』、同じ目的を持った仲間とやってきた会社だと気づいた。今回応募いただいた方を審査するのではなく、仲間として新しい価値を一緒に世の中に伝えていくことを趣旨にやっていきたい」とコメントした。
各社のプレゼンテーションは、持ち時間が6分間、査員からの質疑応答が3分間。審査員からは、競合の状況や差別化ポイントなどに対する質問が飛んだほか、こういったサービスであれば一緒にできる、早く始めたいといった、具体的な提案も数多く寄せられた。
審査員は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏、CCCデザイン 代表取締役社長兼CEOの武田宣氏、CCCエンタテインメント 代表取締役社長兼COOの中西一雄氏、CCCマーケティング 代表取締役社長の北村和彦氏、CCCクリエイティブ 代表取締役会長兼CEOの谷川じゅんじ氏、デジタルハリウッド 代表取締役社長兼CEOの吉村毅氏、CCCフォトライフラボ 代表取締役社長兼CEOの白砂晃氏、品川女学院校長の漆紫穂子氏の8名が務めた。
当初は、CCC賞1社、優秀賞1社の2社が受賞する予定だったが、急遽TVP賞を設立。ピアノ学習アプリ「CAMETIS」を紹介した開成高校の高校生チームが受賞した。特別枠としてプレゼンテーションを実施したチームだが「これだけ若い人たちが世界を見てビジネスを始めている。勇気をいただいたと同時にビジネスの可能性も感じた。そのため特別に賞を作った」(田代氏)とコメント。増田氏も「自分の高校時代はあんな優秀じゃなかった」と感想を話した。
優秀賞は、落書きをアート広告に変える壁のシェアリングエコノミー「ウォールシェア」の180(ワンエイティー)、CCC賞は世界向けコミックアプリ「ToryComics」のToryWorksがそれぞれ受賞した。
増田氏は「各社のプレゼンは、ベンチャーのありようや役割について示唆に富む内容だったと思う。受賞企業はただ単に点数の良い企業を選んだわけではなく、それぞれの評価すべきポイントにそって、選考した」とコメント。さらに先日訪れたという中国のオンライン英会話サービスを提供する「VIP KID」を例に挙げ「2013年の創業から5年で、社員数は1万人以上、登録講師数は7万人以上の大企業へと成長を遂げている。このように、世の中はものすごい勢いで変わっている。(日本の製品やサービスには)世界に通用する日本らしさがあると思う。日本の中だけで物事を考えず、視野を広く持って、地球を面白くしたい。これをぜひ次回やりたい」と今後について話した。
最終審査会に進んだ8社は以下の通り。
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