外科医が、仮想現実(VR)を用いた医師の生涯教育(CME)コースを受講できるようになった。シダーズ・サイナイ医療センターと、外科手術用ストリーミングメディアプラットフォームを提供するGIBLIBの連携による、正式な認可を受けたこのコースは、シミュレーションされた手術室を用いて、消化管手術における外科医の技術を磨くためのものだ。
VRトレーニングの利用によって、医学生のために手術室を準備する経済的かつ倫理的な方法を見つけるのに長く苦労していた医学界で進歩がみられつつある。VRに対する懐疑的な見方が高まる市場で、VRが足場を見つけようと模索する中、医療は企業によるVR導入の可能性を示してきた。
GIBLIBのトレーニングモジュールには、360度の視界を構築する4K対応のバーチャル手術室が採用されている。利用者は、外科医の視界とサポートスタッフの視界、そして腹腔鏡のカメラフィードとロボット技術のカメラフィードを切り替えることができる。
シダーズ・サイナイ医療センター外科部門の執行副会長を務める医学博士のHarry Sax氏は、「われわれは、あらゆる医療機関のあらゆる医師にシダーズ・サイナイ医療センターの医術をバーチャルに提供できることをとても喜んでいる」とし、「このテクノロジを用いれば、ほかの医療専門家がわれわれの先進的な技術や治療を学び、最終的には全国の患者に素晴らしい治療を施せるようになる」と述べた。
このコースで行われる手術には、シダーズ・サイナイ医療センターの専門家らが実演するロボット外科手術や腹腔鏡手術の最新技術を医学生に教える、この分野の専門家のナレーションも付いている。
医療業界に従事していない人にとっても、VR教育のメリットは興味をそそるものになっている。配管工や機械工に電話をするよりも、今はYouTubeでハウツーものの動画を見る方を選ぶという人であれば、バーチャルシミュレーションモジュールに参加し、スキルを磨いてから実生活で生かせるという利点をありがたく思うだろう。
シダーズ・サイナイ医療センターで低侵襲手術ならびに消化管手術のチーフを務める医学博士のMiguel Burch氏は、「VRを利用すれば、専門的なトレーニングを受けるために世界を旅しなくても、視聴者が手術室という環境にどっぷり浸かることができる」と述べた。「この効果的かつ革新的なテクノロジは、医学研修生がどこにいても、オンラインのバックステージパスを提供できる」(Burch氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
「もったいない」という気持ちを原動力に
地場企業とともに拓く食の未来
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」