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療養中の子ども、「aibo」の癒やし効果は?--ソニーら、小児医療現場で検証

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 国立成育医療研究センターこころの診療部児童・思春期リエゾン診療科の田中恭子診療部長らの研究グループとソニーは11月29日、ソニーの自律型エンタテインメントロボット「aibo」による小児医療現場における長期療養中の子供に与える癒やし効果の検証を2018年12月より開始すると発表した。

ソニーの自律型エンタテインメントロボット「aibo」(市販品)
ソニーの自律型エンタテインメントロボット「aibo」(市販品)

 同検証では、aiboからみた子供の視線追従、共同注意、模倣など、対人コミュニケースキルの発達を月齢別に分析。また、非生命体であるaiboへの愛着形成のプロセスを参与観察による発話数と情動表出数(ポジティブとネガティブの2方向)などストレス下にある子供の対人コミュニケーション促進に必要な要素を抽出する。分析には、「アイコンタクト」「音声」「タッチング」のようなaiboより取得したデータも利用する。

 国立成育医療研究センターは、小児・母性疾患を治療するナショナルセンターで、小児がん・臓器移植・慢性疾患などで長期入院を要する小児症例が多数ある。長期入院を要する慢性疾患患者に対して、「家族」「医療従事者」「社会」などと繋ぐ「リエゾン医療」を目的とするリエゾン診療を実施してきた。

 小児リエゾン精神医学領域では、認知行動療法(リラクセーションなど)、家族療法などの効果が報告されており、その実践効果が検証されている。他方、補完代替え療法としての動物介在療法は、動物と人との交流がもたらす健康、自立、生活の質改善を目的に、補助療法、非薬物療法あるいは、ケアの一環として臨床で行われている。

 その対象は、うつや統合失調症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患患者、情緒や発達障害を伴う子供であり、実施の利点として、対象者の情緒安定、自主性意欲の向上、社会性改善、自立適応の向上などの効果が挙げられる。

 しかし、動物介在による感染症のリスクや外傷、咬傷などの副作用が懸念されることから、開放創や皮膚疾患、動物アレルギー、免疫力低下のある患者などには適用されていない。

 近年、ロボットを通じた子供の心の発達心理学研究(とくに認知、意図、意思、心の理論)が進んでいる。生まれて数カ月の乳児は人に興味をもち、顔や身体の形の特徴、動き方に注目して人との特別な関係性を築く。このステップが、対人コミュニケーション発達に大きく影響するとされてきたが、近年ではロボットにおいても、乳児との相互作用や人らしい形態などを付与することで、その視線を追従しようとすることが判明した。

 このことから、ロボットがインタラクティブな存在であることを子供に経験させることで、ロボットからの学習効果を引き出せると期待している。

 特にメンタライジング(人の心を推し量る課題)の発達は社会において重要であり、今回の検証は、発達要素が人の動きをみて反応し行動するaiboの特徴を通じて、子供のこころの発達過程を分析的に知ることができる可能性を探ることが目的となる。

 また、小児においてはロボット技術の汎用性が狭く、十分には臨床応用されていない状況であることから、aiboを慢性疾患で長期入院を要する子供たちへのリエゾン医療として導入し、子供と家族の癒し効果を生物・心理・社会的手法を用いて質的・量的に検証する。

 なお、同研究で用いるaiboは研究に向けた特別仕様の機体となる。市販のaibo(ERS-1000)は、ユーザーの同意のもと、撮影した写真をクラウド上に保存しスマートフォンやPCで閲覧する機能を有するが、同研究では被験者の個人情報の扱いに留意し、被験者の顔写真等の個人を特定可能なデータは成育医療研究センター内でのみ管理。クラウド上への保存やソニー側では管理しない。aiboが取得したセンサーや認識結果などのデータについても、研究分担者が研究上の分析にのみ活用する。さらに、実験に用いるaiboの通信機能(電波利用)は必要に応じて制限する。

 2018年4月から5月に実施したパイロット・スタディの結果では、子供同士の社会的相互作用の促進(特に社会的な側面からみた自律性、配慮性など)や、表出が困難なケースにおける緊張緩和・リラクゼーション効果、孤立しがちな親子関係性への介入への期待、介在による三項関係の促進(共感性、共同注意力の促進、他者への参照など)、aiboとの定期的コミュニケーションによる情緒交流、気分転換ならびに、癒しの効果が期待できる結果が既に出つつあることが確認されている。

 今後、心理社会的な面において支援を必要とする現場へのロボットによる介在療法の導入の可能性を示すことで、動物療法の必要性を認識しながらも導入に至らない小児療養施設・児童福祉施設(児童相談所一時保護所など)であっても同様に、子供らの孤独と不安に寄り添う癒しの効果が広がることを期待しているという。

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