パナソニックは、ヒトとモノの流れの見える化を始める。11月20日、ハンドヘルド端末「TOUGHBOOK FZ-N1」(FZ-N1)を発表。「トラック(ドライバー)」と「荷物」をリアルタイムに一括管理し誤配送を防止する「配送見える化ソリューション」のドライバー端末として活用するほか、チケッティングの電子化による新たなスタジアムサービスの実証実験で、チケットチェックや再入場認証時の読み取り端末として使う。
FZ-N1はバーコードリーダー搭載した4.7型のBtoB向けハンドヘルド端末。TOUGHBOOKブランドを冠する堅牢な造りが特長で、2016年に第1弾モデルが登場した。新製品はサイズやデザインなどはそのままに、210cm(現行機は180cm)からの落下試験を実施しているほか、マイナス30~70度での使用、IP66/68準拠の防塵・防滴、防水性能を確保。頑丈性能を向上したほか、Android 8.1を搭載した。
パナソニック コネクティッドソリューションズ社常務モバイルソリューションズ事業部事業部長の坂元寛明氏は「パナソニックは『エッジデバイス』と呼んでいる差別化技術を強みにしたハードウェアや、きめ細やかなサービスを提供してきたが、システム部分が弱いという認識があった。この部分を強化するため、約2年前にベルギーの人物認証とサプライチェーンの現場ソリューションに特化したZETES(ゼテス)を買収。システム部分を強化した」と、事業開始のきっかけを話した。
配送見える化ソリューションでは、配送現場のプロセスを見える化する「ZETES CHRONOS(ゼテス クロノス)」システムとTOUGHBOOKを組み合わせることで、ドライバーの業務効率化を実現。運行管理者のPCと、ドライバーのハンドヘルド端末を、クラウドサーバーを通じて相互連携させることで、配送状況や配送作業をリアルタイムに見える化する。
ドライバーは、ハンドヘルドを介して、配送業務指示を受信でき、業務効率化と作業ミスを軽減。荷主や管理部門は、トラックの位置情報管理(動態管理)だけでなく、トラック(ドライバー)と荷物を紐づけて一括で進捗管理できるため、配送効率の向上や問い合わせ対応の迅速化が可能だ。受け取りサインの電子化などによりエビデンス管理を効率化、リスクを軽減する。
システムをクラウドサービスで提供するため、サーバー環境の構築が要らず、短期間かつ低コストでの導入をサポート。専任者も不要のため、システムの運用費や手間も抑えらえる。
あわせて、チケッティングの電子化による新たなスタジアムサービスの実証実験にもTOUGHBOOKを活用する。今回の実証実験は、ぴあと共同で実施するもの。チケッティングサービスとスタジアム内の設備、端末から得られる情報を一元的に連携することで新たなスタジアムサービスを提供する。
ぴあではすでにTOUGHBOOKを入場認証に使用しており「読み取りの速さと堅牢性が魅力。ハンディであることも使いやすさの点で優れている」(ぴあ システム局長兼システム戦略室長の川端俊宏氏)と話す。
実証実験は11月24日、パナソニックスタジアム吹田で開かれる、サッカー・明治安田生命J1リーグ、ガンバ大阪 対 V・ファーレン長崎戦にて実施。TOUGHBOOKを用いた、スタジアム運営負担軽減や来場履歴、決済履歴、アクティビティ履歴をもととしたデジタルマーケティングの可能性などを検証する。
配送見える化ソリューションでは、1ライセンスの月額価格は約7000円で、サーバーライセンスなどの初期費用として別途90万円程度が必要となる見込み。パナソニックでは、サーバーやアプリなどを自社開発するほかのサービスに比べ、大幅なコストダウンにつなげる考えだ。
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