実証実験では、位置情報の発信が止まったり、登山路から明らかに外れた場所から位置情報を発信するなどの明らかな異常を確認したら、登山者に何らかの事故が起こったと判断し、家族が捜索を依頼するという形を採った。
捜索依頼を受けた山岳救助隊は、YAMAPのデータを見て、異常が発生したと考えられる地点周辺の風向きや気候をウェザーニューズの高精度上空気象予測サービスで確認する。異常発生地点に向かう飛行ルート上空の天候に問題がないことを確認し、ドローンに航路を設定し、現地に向かわせる。
ドローンは異常発生地点に到着したら、搭載しているカメラで周囲の様子を撮影しながら、遭難者を捜索する。発見したら、その位置データと画像データを救助本部に送信する。救助本部は、受信したデータから遭難者の位置を特定した上で救助ヘリを向かわせる。救助ヘリは遭難者の捜索に時間を使うことなく、救助に専念できるので、最短の時間、最小の労力で遭難者を救助できる。
今回の実証実験では、御殿場口新五合目から登山し、道に迷って滑落したと想定し、遭難場所にドローンが向かって遭難状況を撮影した。KDDIは今回の実証実験で使用したシステムを2019年の登山シーズンまでに実用化することを目指す。
ウェザーニューズが提供した高精度上空気象予測サービスは、機体が小さく、低空を飛行するドローンに向けて、細かい単位で気象を予測するサービスだ。気象を予測する最小単位(メッシュ)は250m四方で、高度10m単位で別々のデータを分析する。ウェザーニューズはこのサービスを本日からドローン利用者向けに提供を始める。KDDIが構築している「スマートドローンプラットフォーム」で利用可能だ。ウェザーニューズは遭難者救助のほかに、建設、農業、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)などの分野でも活用が進むと期待しているという。
またヤマップは、登山者位置情報通知・監視サービス「YAMAP」に、LPWA(Low Power Wide Area)通信技術を連携させる機能を開発していることも明らかにした。KDDIが2018年1月から提供開始を予定している通信サービス「KDDI IoTコネクトLPWA」の通信端末を登山者に携帯してもらい、緊急時にはボタンを押すなどの形で異変を知らせることができるようにする。登山者側からの通信が可能になることで、深刻な事故に至る前に救助できる可能性が高くなる。
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