VAIOは11月13日、経営方針説明会を開き、これまでの振り返りと今後の事業について説明した。
VAIOは、ソニーからPC事業を継承し、2014年7月に設立。4周年を迎えた。2017年に社長を交代し、JVCケンウッド出身の吉田秀俊氏が代表取締役社長に就任して約1年半になる。
吉田氏は、2桁の増収増益と過去最高益を達成したとし、モバイル製品のラインアップの拡充や法人向け製品の伸長など、PC事業が好調であること、ロボットを中心としたEMS事業の拡大、ソリューション事業の始動などが要因と説明した。
吉田氏は「“フェーズI”として、1年目から3年目はうまく過ごせた」と評しながらも、「VAIOは240人の体制、限られたリソースでこれからの成長戦略はどうするか。PC事業だけで将来生き残れるのか。5年先でも6年先でもPCのVAIOはある。しかし、強い事業構造がないと生き残りが大変」とし、強い事業構造をいかにつくり、仕込みをいかに早くするかがカギとなると説明した。
そうした中、吉田氏は“PCブランド”から“次世代のITブランド”への変化をコンセプトに掲げる。「過去のITブランドになるのはいまさら。これからのVAIO株式会社は、次世代を目指したい。次世代を目指す上でのコアコンピタンスは、国内/海外に通じるブランド力と安曇野のモノ作り力。この2つがないと成り立たない」と説明する。
製品の拡充、営業強化に加え付加価値を強化するとし、そのためにVAIOはさまざまな協業をすることで成長していくとした。
VAIOは、11月に台湾のBenQと電子黒板事業で提携したと発表している。BenQ製造の「大型インタラクティブ・フラットパネル」のプレミアムラインをVAIOブランド「VAIO Liberta(バイオリベルタ)」とし、VAIO及びBenQの日本法人であるベンキュージャパンの国内法人販路にて11月20日より販売する。
今回新たに、「指静脈認証技術」を持つモフィリアと協業と、IoTのプラットフォームを開発・提供するジャスミーとの共同事業の検討を開始したと発表した。
指静脈認証技術は、指の内部にある静脈のパターンを使って個人を特定する認証方式。静脈内を流れる血液中の還元ヘモグロビンが吸収する近赤外線をあてて指を撮像し、静脈パターンを抽出。この静脈パターンを予め登録された静脈パターンとマッチングすることで、認証する。
指静脈認証技術をVAIO製品をはじめとするIoTデバイスのセキュリティソリューションの1つとしてより普及させたい考えだ。今後はより幅広いIoTデバイスに内蔵することも視野に入れ、モフィリアの指静脈認証デバイスの小型化に向けた開発に協力するという。
協業の第1弾として現行のモフィリア製「指静脈認証デバイス」2機種(FVA-U4ST/FVA-U3SX)を、同社が既に提供している「指紋」「顔」に続く生体認証の新たな選択肢として、VAIO PCとともに法人販路にて販売を開始する。
さらに、新しいブロックチェーン技術を応用したIoT事業創造についても、ジャスミーと共同事業の検討を進めていくという。
VAIOとジャスミーが保有する技術・製造力のシナジー効果により、IoTとブロックチェーン技術を使った新たな商品群および、サービス・アプリケーションの開発の可能性を探るとしている。
なお、VAIOは同日、新機構を採用した2 in 1ノートPC「VAIO A12」「VAIO Pro PA」も発表している。
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