携帯料金の4割値下げや楽天の新規参入--小林史明議員に聞く「携帯業界と行政」 - (page 2)

藤井涼 (編集部) 佐野正弘2018年11月12日 14時15分

楽天はKDDIと提携しても料金競争を仕掛けられる

——11月1日にKDDIと楽天が提携を発表し、楽天のローミング相手がKDDIに決まりました。

 新規参入の楽天は、1年後に全国をカバーできるわけではないため、いずれかのキャリアとローミングする必要がありました。MVNOで関係があったドコモではなくKDDIとなったのは、さまざまな条件があったと思いますが、私は何となくKDDIではないかと予想していました。

 NTTドコモとは決済やポイントなどで事業の重複がありますし、ソフトバンクはグループにヤフーがあり、Eコマースで競合となっている。なので、一番補完し合えるのはKDDIだと感じていたからです。またKDDI(のルーツの1つ)は第二電電で、NTTとは違う選択肢のもとに生まれた会社ですので、DNA的にも共通している部分があるのではないでしょうか。

KDDIと楽天が提携を発表。通信だけだなく決済や物流など、広範囲で手を組む
KDDIと楽天が提携を発表。通信だけだなく決済や物流など、広範囲で手を組む

——提携内容にはローミングだけでなく決済や物流なども含まれ、より踏み込んだ内容となっていることから、楽天は料金競争を仕掛けにくくなったとの見方も出ています。

 冷静に考えると、KDDIと楽天が組んだからといって、NTTドコモやソフトバンクが料金を引き下げないわけではない。仲良しの関係でうまくいくとか、そんなことを言っている状況ではないと思います。

 むしろ楽天には野心的な戦略があると考えていて、今回の提携によって楽天は、より早くKDDIも含めた他のキャリアに競争を仕掛けられる環境を作れたと捉えています。東名阪だけで数千万の市場がありますから、ユーザー数が少ない楽天はそこで圧倒的に通信速度が速いというメリットを打ち出し、顧客を勝ち取る可能性があると思っています。

——今回はローミングの提携ですが、将来的にはインフラ整備のコスト低廉化のため、設備を共用することも考えられます。キャリア同士の設備共用に関して、行政ではどのような取り組みをされていますか。

 アンテナ部分などは十分あると思っていて、今後増えていくのは間違いないでしょう。ただ、コアネットワークは共通化できないので、その部分がどう進んでいくかという技術的な面での課題があるとは思います。基本的には民間企業同士の話し合いで決めていくことになりますが、それを遮る規制があれば検討していくという形になるのではないでしょうか。

キャリアの料金値下げでMVNOも競争激化へ

——大手キャリアの料金が下がると、これまで行政が力を入れて拡大に取り組んできたMVNOが、一層苦しい立場になるように思います。

 キャリアの料金値下げやサブブランドの台頭でMVNOは苦しくなることが予想されたので、先の検討会ではサブブランドとMVNOとで、ネットワーク提供条件がフェアなのかどうかを一度整理し、MVNO側が自由度をもってビジネスをできるようにしました。

小林史明衆議院議員

 条件をフェアにしたのですから、今後はMVNOにも競争をして欲しい。現在MVNOの数は非常に多いですが、今後は合併や連携などが進んで骨太なMVNOが登場し、そこから充実したサービスが出てくるのではないでしょうか。MVNOの市場の成熟で次のステージに向かうと考えています。

——そうした期待がある一方で、MVNOがサービスを終了したり、破たんしたりした時のユーザー保護については、有識者会議などでも話し合いがなされていないように思います。

 楽天の新規参入もありましたので、その点は議論になりました。最低限のセーフティネットは担保する必要があるでしょうし、そのための議論を進め制度設計をしているところです。MVNO同士で買収が起きた場合、メールアドレスがどうなるのかといった細かな課題があることから、もう少し整理する必要がありますが、MVNOの大合併時代に備えてユーザー保護は必要と考えています。

——「モバイル市場の競争環境に関する研究会」のヒアリングでは、MVNOの側から、キャリアからネットワークを借りる際に支払う接続料への不満が多く聞かれました。

 接続料に関しては、そもそも今の算定式でよいのかなど、いろいろな意見が出ています。そうした意味でもMVNOの市場が成熟した段階で、算定式を一度洗いなおして新しい方式を考えていく必要があるでしょう。現時点で方針が決まっているわけではありませんが、「これならしょうがない」と納得感がある仕組みであることが凄く重要だと考えています。

小林史明衆議院議員

 一方で、MVNO側が「音声通話定額」をやりたいという要望があっても、キャリアのネットワークがひっ迫している中では難しい。今のキャリアを取り巻く環境も踏まえた上で、どこまでやるべきかを検討する必要があるでしょう。行政としてはそうした部分でもキャリア同士で競争してもらうことが重要だと考えており、5Gの電波割り当てにはMVNOへのネットワーク提供努力も評価項目に入れることで、キャリア間競争を促しています。

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