スマートホーム市場で後れを取り続けるアップルが本腰を入れる日は来るのか - (page 2)

Ben Fox Rubin (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年11月20日 07時30分

 AmazonとGoogleが新しいガジェットや機能を投入して覇を競っているなか、Appleは異常なほど静かだ。スマートホームデバイスの選択肢が限られているのと同様、Siriの機能にも限界がある。また、Philips、Belkin、ecobeeといったスマートホームデバイスメーカーとのパートナー関係も限定的だ。

 しかも、今や1人で複数のスピーカを所有する時代へと急速に変化しているスマートホーム市場で、Apple唯一のスピーカは値が張りすぎ、今の顧客の需要に応えていない、とCIRPの共同創業者Josh Lowitz氏は指摘する。

 Strategy Analyticsが発行した10月のレポートによると、Amazonのデバイスは米国のスマートスピーカ市場で63%のシェアを占めており、その主力となっているのはEchoとEcho Dotだという。Googleのシェアは17%で、Google HomeとGoogle Home Miniが全体でも3位と4位を占めた。AppleのHomePodは、はるか下方の4%にすぎない。Appleが何らかの手を打たない限り、この状況が大きく変わる見込みはまずないだろう。

 サムスンとMicrosoftも音声アシスタントを持っていながら、スマートスピーカ市場には食い込むことができず、Appleよりさらに後れを取っている。サムスンは、音声アシスタント「Bixby」を搭載する「Galaxy Home」スピーカの販売を予定しているが、価格と発売時期を発表するには至っていない。

Appleの展望はますます不透明に

 2017年12月、筆者はスマートホームに対するAppleの野望について、今回と同様の記事を書くために数人のアナリストにインタビューした。このときのインタビューでは、HomePodの発売より前だったこともあって、Appleの可能性に対する期待は明らかにもっと熱かった。Appleには忠実な顧客がいること、ハードウェアとソフトウェアが緊密に統合されていること、潤沢な現金残高があること(2018年7月の時点で2437億ドル)を根拠に、スマートホーム市場でもAppleは明らかに有利だと、アナリストたちは語っていた。

 Appleは後追いを始めたら速いという指摘もあった。新しい市場の開拓に競合他社が全力を出し切ったところに、都合のいいタイミングではるかに洗練された製品を投入してくるのだ。実際、これまでスマートフォンでもスマートウォッチでも同じ手を使ってきた。スマートホーム製品でも同じことをやるに違いない、というわけだ。

 もちろん、Appleは依然として強大である。だが、アナリストによればAmazonとGoogleはそれを既に上回っており、追いつくのは難しいという。いったんスマートホームのシステムに取り込まれた顧客を、Appleが取り戻せる可能性はかなり低いというのだ。

 「消費者が家庭で複数のスマートホームシステムを使うとは考えにくい。いったん1つのシステムに決めたら、それを乗り換える(例えば、EchoからHomePodへ)可能性はもっと低くなる。使い方を覚えた手間と、関連製品を購入した投資があるからだ」と、CIRPのLevin氏はメールで説明してくれた。

 Strategy AnalyticsのNarcotta氏も、Appleが、同社の強みであり、利益の上がっている既存の製品ラインに代わって、スマートホームに向けた量販的なアプローチをとることはないだろう、としている。つまり、家庭の照明や施錠のコントロールに使うとAppleが想定しているのはiPhoneや「iPad」であり、49ドルのAmazon Echo Dotと真っ向から勝負する製品としてうわさされている「HomePod Mini」のような安価なスマートスピーカではないということだ。

 では、Appleがスマートホームに本腰を入れるときは来るのだろうか。それは、AmazonとGoogleがスマートホームガジェットでiPhoneやiPadの売り上げを脅かすようになったときだろう、とNarcotta氏は予測する。そうなったらAppleもあわてて目を覚ますはずだ。

 だが、まだそうはなっていない。

 「AmazonやGoogleがiPhoneの顧客ベースを侵食し始める日が来れば、Apple本社は夜を徹したミーティング続きになるだろう」(Narcotta氏)

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提供:James Martin/CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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