ヤフーは10月31日、2018年度第2四半期決算を発表した。4~9月期の累計売上収益は4735億円(前年同期比で10.6%増)、営業利益は831億円(同12.5%減)。また、2Q単体では、売上収益が2331億円(前年同四半期比で8.3%増)、営業利益が355億円(同16.9%減)となった。
事業別では、メディア事業の売上収益が751億円(前年同期比4.8%増)、営業利益が353億円(同5.2%減)。なかでも、広告関連売上収益が前年同期比6.7%増加。検索連動型広告も第1四半期に続き同13.2%増になったという。主要なKPI指数としている、月間ログインユーザーID数は4587万ID(同10%増)、ログインユーザー利用時間もPCとスマートフォンを足して2.5時間と前年同四半期で12%増加した。
また、コマース事業は、Yahoo!ショッピングなどのEC取扱高は4618億円と前年同四半期比で11.1%増加。ショッピング広告売上収益は71億円(同28%増)と好調さをアピール。さらに、同社傘下のクレジットカード関連事業を手がけるワイジェイカードも黒字化し、Yahoo!ショッピングの収益性も改善したとする。ヤフオク!でも、Yahoo!プレミアム会員以外でも出品可能になったほか、ヤマト運輸との匿名配送の提供、配送料の一律化などを実施している。
営業利益減について同社代表取締役社長CEOの川邊健太郎氏は、「年度初めからお伝えしている未来を創るための投資予算で、予定通りの減益」と説明。前年同期から49億円増えた広告売上収益などの増収は、増加した販管費と相殺。また、未来への投資として、人材およびサービス基盤、メディア関連、コマース関連への投資で72億円減となっている。
大きく変化した点として、株主構成について言及。8月31日に自社株買いを実施した跡、Altaba(旧米Yahoo!)が9月28日に所有していたヤフー全株(株式比率では9%)を売却。創業後二十数年で初めて、浮動株が51%に増加したとしている。
また、10月5日に正式サービスを開始したキャッシュレス決済サービス「PayPay」についても紹介。10月25日には、AlipayとPayPayのQRコードを統一し、訪日観光客がPayPayの対応店舗でもAlipayで支払いできるようになった。川邊氏は「利用店舗から見ても、ユーザーから見ても、最も利便性のあるモバイルペイメントサービスにしたい」と語る。もともと、ヤフーでは「Yahoo!ウォレット」というウォレットサービスを展開しており、これをベースにリアルに進出する予定だったが、ソフトバンクビジョンファンドの出資先であるインドPaytmをベースに国内で展開することになった。
さらに、PayPayのオンライン販促ソリューションを年内に提供すると発表。マルチビッグデータ、購買履歴を活用したユーザー特定の精度の高さ、オンライン・オフライン両方のデータをもとにマーケティングできるという。例えば、ナショナルクライアントなどに、新商品の告知だけでなく、ペットボトルにQRコードを入れ、PayPayで読み取ると一部キャッシュバックなどが可能になるという。これにより、ネットで告知を見た人が実際の購買につながったかを一気通貫で効果測定できるほか、棚取りからどの程度のネット告知を行えばよいかを逆算したマーケティングも可能になるという。
キャッシュレス決済では後発となるPayPayだが、どのようにして追撃するのか。川邊氏によると、PayPayだけでも社員数をそろえており、ソフトバンクの法人営業を含めると日本のモバイルペイメントの中でも店舗開拓に機動力を持つ組織になっているという。また、普及後はマーケティングの考え方が変わるとし、お金の流れの電子化を一部活用したFintechサービス、決済金融カンパニーをうまくドッキングし、ユーザーの収入が増える機会などを提供したいとする。コマース領域では、PayPay中心の投資をますます進め、PayPayから広がる投資体験を厚くするとしている。
さらに、スコアリングの実証実験も実施。Yahoo! JAPAN IDに紐づく莫大なマルチビッグデータを生かし、ネットとリアルが融合するサービスにおいて、ユーザーの利便性が上がる、特典が増えるようなスコアリングサービスを提供したいとする。こちらは、ユーザーグループを提供者で組んで実証実験中であり、2018年度内にサービス開始したいとする。
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