EAJは「24時間365日体制での不動産取引実現」を目標に掲げているが、それを阻む壁もある。例えば決済は、深夜帯でもリアルタイムに実行できるのが理想だ。となると、仮想通貨を想起しがちだが、この状況も変わった。少なくとも日本国内では10月9日に、銀行間口座送金の24時間化が完了。送金手数料の論点はともかく、即時性だけを鑑みれば仮想通貨を使うまでもない。
逆に法務省窓口での登記申請は、17時15分で当日受付が終了してしまう。取引で現金のやりとりが実際にあっても、登記手続きが間に合わずに書類上の名義移転が翌日扱いになれば、その点がリスクになってしまう。
このように、状況は刻々と変化している。「取引には色々なかたちでタイムラグがある。その上で、これらをカバーできるシステムを作らなければならない」(成宮氏)
不動産取引の24時間365日化は、一朝一夕に実現できるものではない。ただし、この領域でEAJは最初の1歩を踏み出している。それが「H'OURS(アワーズ)」というサービスだ。
不動産取引は通常、その権利移転の当日に、売り主・買い主・仲介業者・司法書士らが銀行などへ集合し、本人確認・伝票記入・融資実行・鍵の引き渡しなどを立ち会いのもとで行う。この手続きには、長ければ2〜3時間程度かかり、かつ法務局への登記申請を当日中に済ませようとすると、関係者が多いためスケジュール調整だけで大変な労力がかかってしまう。
H'OURSでは、これらの業務をEAJが介在することで軽減。特に、当日立ち会いを不要としている点が特徴という。これであれば、売り主が会社員の場合、平日の立ち会いのために有給を取らなくてすむ。また不動産会社の従業員にとっても、リゾート物件の取引のためにわざわざ出張する必要もなくなる。
そしてH'OURSはブロックチェーンに頼ることなく、信託口座やトランザクションシステム(CLOUDサービス)など既存の機能と、EAJ独自のサービスである不動産取引保証の組み合わせで実現したサービスだ。未来の新技術に期待しつつも、目の前にある課題を1日でも早く解決することが、まずは重要という発想だろう。
「ブロックチェーンは大きな可能性を秘めた技術ではある。お客様が困り事を解決する手段としてブロックチェーンが機能するならば、是非使っていきたい」と成宮氏は述べ、そのためにも様々なパートナーと手を組んでいきたいとの方針を示した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」