スマートフォンには、電話番号やメールアドレスなど個人的な情報が大量に保存されている。さらに、何らかのサービスを利用するためのパスワードがアプリやウェブブラウザに記憶されていることもあり、勝手に操作されたくない。
そこでロックしておくわけだが、何か操作する都度ロックを解除するのは面倒だ。音声コマンドで操作できるスマートフォンのロック解除にパスワード入力や指紋認証が必要だと、音声コマンドでハンズフリー操作する意味がない。
これに対し、Appleは音声コマンドを解析してユーザー認証する技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間10月16日に「DEVICE ACCESS USING VOICE AUTHENTICATION」(特許番号「US 10,102,359 B2」)として登録された。出願日は2016年1月4日、公開日は2016年4月28日(公開特許番号「US 2016/0119338 A1」)。
この特許は、音声入力を受け付ける電子デバイスにおいて、音声コマンド受信時にユーザー認証し、正しいユーザーと判断できれば、正規ユーザーだけに許可している処理を実行する、という技術を説明したもの。スマートフォンに適用すれば、音声でロックを外せるだけでなく、ロック状態のまま音声コマンドで何らかの処理をスマートフォンに実行させることなどが可能になる。
ポイントは、ユーザー認証時に解析する音声データが、特定の文章を発声したものでなく、ユーザーの実行させたい処理に必要な音声コマンド、という部分。クレーム(請求項)では、入力された音声コマンドの声紋を登録済みデータと比較して認証する、としている。つまり、音声操作時にまず「OK Google」「Hey Siri」「Alexa」といったウェイクワードが必要なスマートスピーカと違い、この特許の技術は音声コマンドをいきなり発声すれば希望の処理が実行できる。
また、音声コマンドでユーザー認証に失敗した場合、電子デバイスはユーザーに対し、パスワード入力を求めるなど別の方法でユーザー認証を再度実行する。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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