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13もの事業を展開するVOYAGE GROUP--宇佐美社長の考える新規事業の創り方

藤井涼 (編集部) 阿久津良和2018年11月09日 08時00分
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 2019年1月に電通傘下のサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と経営統合し、新会社を立ち上げることを発表したVOYAGE GROUP。1999年の創業から19年目を数える同社では、アドプラットフォームやポイントメディア、インキュベーションの3分野で、十数もの事業を展開している。

VOYAGE GROUP代表取締役社長 兼 CEO 宇佐美進典氏
VOYAGE GROUP代表取締役社長 兼 CEOの宇佐美進典氏

 創業時から経営理念に「360度スゴイ」を掲げる同社の新規事業についての考えを、VOYAGE GROUP代表取締役社長 兼 CEOの宇佐美進典氏に聞いた。

「人」が企業の“本質的”な強み

——VOYAGE GROUPでは「360度スゴイ」を経営理念に掲げています。また、自社を「人を軸にした事業開発会社」と称していますが、その思いについて聞かせて下さい。

 現時点で13の事業を展開しており、それぞれ目指すべきビジョンはありますが、事業内容が異なるため全体として束ねることは最適ではありません。そこで、創業時の思いをソウル(魂)として経営理念に盛り込みました。各事業に権限委譲を進めており、現在の事業部制を社内組織に取り込んだのは、確か2006年頃だったと思います。それまでは機能ごとに○○本部という形でしたが、スタッフも150人ほどとなり、何かを決める際のスピード感が低下していました。

 たとえば、新たな事業を始める際は社内調整が欠かせなくなり、これでは新しいことをスピード感もって進めません。大きな組織ではなく、小さな組織で(新規事業の)スピード感を持って推進するため、事業部制もしくは子会社化の形を取っています。当時の主要事業は(VOYAGE GROUPの経営と)兼務していたので(権限委譲に対する)懸念はありませんでした。現場に業務を任せることで、担当者の意思決定が多少間違っていたとしても、自分たちで進めることの方が重要な要素だと考えています。

VOYAGE GROUPのウェブサイト。トップページには大きく「360°スゴイ」の文字
VOYAGE GROUPのウェブサイト。トップページには大きく「360°スゴイ」の文字

 人を軸にしていることについては、インターネット事業は良くも悪くも「マネされやすい」し「マネしやすい」部分があります。類似したサービスが数カ月後に登場するのが当たり前の世界で、事業そのもので新しいサービスを実装するのは当然ですが、提供サービスをアピールポイントとしても、本質的な企業の強みとはなり得ません。逆に模倣されにくいものはと考えたら、それが組織で働く人々や企業文化でした。だからこそ人々を本質的な企業の強みにしようとしています。

——新規事業を生み出しやすい環境を作るために、社内で多数のユニークな取り組みを進めているそうですね。

 複数の事業に取り組む場合、企業全体の資産として各事業を管理するには、どの事業にどれだけのリソースを割り当てるのかの判断が求められます。

 たとえば、事業の進捗状況をステージとして捉え、今後の期待値を含めて可視化するためのプログラムが(事業開発の羅針盤である)「JIGYOPRO」です。マイナーチェンジを重ねており、現在のJIGYOPROは粗利と営業利益で6段階のステージによるランク付けをしています。この情報を指標として、事業撤退やリソース投入を判断します。

事業開発の羅針盤「JIGYOPRO」
事業開発の羅針盤「JIGYOPRO」

 「座礁学」も、不定期ですが開催してきました。過去の事業・組織での“失敗”を共有する社内勉強会ですが、事業撤退時に責任者とスタッフがともに振り返り、知見を社内全体で共有するといったことをしています。

時代で変化する新規事業の生み出し方

——新規事業におけるアイデアの生み出し方や、チーム体制について聞かせて下さい。

 時代に応じて新規事業創出の方法は変遷しています。2000年初頭から2012年頃までを振り返ると、PCからフィーチャーフォン、次にスマートフォンと5〜6年単位でプラットフォームが変化してきました。しかし、スマートフォンに変わる新たなプラットフォームはまだ登場せず、事業の成功モデルも生み出しにくくなっています。

 B2B事業領域においても大手が進出し尽くし、ニッチな領域しか残っていません。このように(新規事業創出の)難易度が高まっているため、われわれも手法を変化させているのが現在の状況です。

 過去・未来を含めた新規事業創出方法は、社内でアイデアを募って事業化する「ボトムアップ」や、経営層が狙い絞った領域で事業を起こす「トップダウン」、業務以外の自主的活動から事業化につながる「スカンクワーク」の3つでしょうか。

 たとえばボトムアップでは、新規事業の創出を目的とするイベント「New Gate」(旧EBI: ExcellentBusiness Innovation)を開催するなど、提案されたアイデアを経営層でスクリーニングして取り組んできました。チームは提案したメンバーで始まるケースもあれば、異なるメンバーが加わる場合もあります。

 ただ、これら3つの中で結果的に事業として残る確率が高いのはトップダウンでした。どの領域で事業を展開するべきか、伸びている市場を肌感覚で捉えているか。さらに良い人材を集められるかといった部分で経営層の方が長けているためだと思います。

 もちろん、ボトムアップもNew Gateを通じてフォローしていますが、市場に対する感覚よりも、自身の課題や「やりたい」という気持ちがベースになるため、成功確率で比較すると若干低くなります。それでもNew Gateからは、ふるさと納税の特産品ポータルサイトである「ふるさと本舗」や、子育てママ向けの無料プリント整理アプリ「ポスリー」などが生まれています。

子育てママ向けの無料プリント整理アプリ「ポスリー」
子育てママ向けの無料プリント整理アプリ「ポスリー」

——アイデアを実際に事業化する判断基準や、プロダクトアウトの決断タイミングなどを教えてください。

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