10月10日から3日間に渡り、中国・上海でファーウェイが主催する年次イベント「HUAWEI CONNECT 2018」が開催された。日本ではスマートフォンの印象が強い同社だが、通信インフラやサーバ機器、IoTデバイス用のチップセットをワールドワイドに展開しているほか、AIへの取り組みも数年前から本格化している。
2018年のHUAWEI CONNECTでは、そのAIをメインテーマに据え、すでに実用化が進んでいるソリューションの数々を展示していた。ここでは、そのなかでも特に目を引いたAIソリューションを紹介する。
広大な展示エリア全体から見ればごくわずかなスペースではあるものの、教育分野におけるAI活用の実例として最も注目を浴びていたのが、インテリジェントな学校教室向けソリューションだ。
実際の教室で行われている授業を動画撮影し、その映像を遠隔地に届け、学校に通えない場所にいる子どもも同じ授業を受けられるという仕組みはそれほど目新しくはないだろう。ところがファーウェイのソリューションではそれに加えて、映像のAIによる分析も可能にしている。
教師の教室内での移動、板書き、発言、質問といった動作を認識するほか、生徒1人1人についても顔を判別したうえで、起立・着席、挙手、書き取り、居眠りなどあらゆる行動を解析する。これにより、行動の割合を数値化し、授業内容がどういったパターンで行われているのかを統計的に算出。子どもの行動や教師の教え方の傾向などを分析可能にし、授業の方法や内容の改善に役立てられる。
また、そうしたAI分析とは別に、教師が黒板代わりの大型ディスプレイに書き込んだ内容を、別の教室内のディスプレイや、生徒の机の上に置いたタブレット画面に映し出す機能を用意する。生徒がディスプレイやタブレット上で書き込んだ内容も同じようにリモートの大型ディスプレイに反映させられるため、たとえば教師が問題を書き、その解答を生徒に手元で書いてもらって全員で共有する、といったインタラクティブなコミュニケーションが可能になる。
さらに授業中の教室から遠隔地への映像送信だけでなく、別の場所から教室内のモニターへの映像送信も同時にできる。ブースでは、クロマキー背景の前でカメラ撮影している人物映像と、別途用意した資料映像とをリアルタイム合成し、その内容を教室のモニターに送信するシステムを組み合わせていた。
用途としては、授業の補足説明が必要な場面で、具体的な資料映像とともに専門的知識をもつ別の教師が説明する、といったものが考えられる。これらのシステムは、中国国内はもちろん、サウジアラビアなど国外でもすでに活用が始まっているという。
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