ライバルは電車やテスラ--“定額”自転車「Vanmoof」が新型電動アシスト発売へ - (page 2)

電動アシスト自転車普及の鍵は「環境整備」

 店舗オープン後の利用者動向などは、営業開始から間もないためまだはっきりとした数字としては出ていないようだが、カーリエ氏によれば少なくとも「購入する人よりサブスクリプション(定額料金)を選ぶ人が多い」という。日本では今のところ電動アシストではないスマート自転車Smart S/Xがサブスクリプションの対象で、月額2500円という手頃さもあって出足は好調とのこと。

 ただ、12月以降これに加わることになるElectrified S2/X2は、月額料金がより高額になると見られることから、Smart S/Xと同じように受け入れられるかどうかは未知数だ。ところがカーリエ氏はこれを新たなチャンスと捉え「われわれの電動アシスト自転車はゲームチェンジャーになり得る」と語る。

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 「少し高いことは確かだが、他の交通手段の代替になる。われわれのスマート自転車(Smart S/X)は既存の自転車を置き換えるもので、今度の新しい電動アシスト自転車(Electrified S2/X2)はアウディ、BMW、テスラ、あるいは電車などの公共交通機関がライバルとなる」。価格の違いから購入者層が異なる部分もありつつ、150kmの航続距離をもつ電動アシスト自転車は、既存の自転車とはそもそも選ぶ基準や利用目的から変わってくると見ているようだ。

 その一方で、同社の電動アシスト自転車が広く普及していくかどうかは、価格よりも環境が鍵を握っていると同氏は指摘する。「欧州で電動アシスト自転車が登場し始めたとき、“危険な乗り物だからゆっくり走らないと”というイメージが先行した。ところが現在では“どんどん使うべき”という感覚になっている」のだという。このように消費者のマインドが変化した理由は、自転車専用道路を整備するなど、行政が前向きに対応したことが大きい。「こうした動きは自転車人気を高めるのに重要なポイントだ。世界でも同様の動きが加速しているし、東京も変わり始めている」(同氏)。

 そんな状況のなか、Electrified S2/X2は予約受付を開始してから、全世界ですでに7000台近くの注文が入っている。課題は、独特の構造をもつ自転車であり、バッテリや電子回路をフレームの内部に設置する都合上、通常の自転車では考慮しない高い精度とノウハウが必要なこと。そのため生産ペースにも限りがあり、増え続ける注文に追いつけないという状況がしばらく続いている。

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 それでも、増産に向けた製造技術・効率の改善も日々重ねている。前世代の電動アシスト自転車では月産700台程度が精一杯だったところ、新型車は10月現在月産2000台へと大幅増を果たしているとのこと。11月にはさらに増え、月産3000台になると予測している。現状、注文しても納車まで3カ月ほど待つことになるとのことだが、待たずに買える日もそう遠くはなさそうだ。

 「テクノロジの進化は早い。今後も自転車はより軽く、安価で、速く、長距離を走れるようになっていくだろう。今回の新型車も進化の開始点でしかない」と話すカーリエ氏。同社の電動アシスト自転車も現在は高額だとしても、時間とともにより多くの人に乗ってもらえるようになるはず、と日本での普及に自信を見せた。

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