米司法省は米国時間10月4日、個人情報の窃盗、電信詐欺、マネーロンダリングの罪でロシアの諜報局員を起訴した。
ロシアの諜報機関である連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の局員7人は、30カ国の運動選手250人と反ドーピング機関のほか、米国の原子力企業、オランダのハーグにある化学兵器禁止機関(OPCW)に対して、ハッキングを仕掛けたとされる。起訴されたGRUのハッカーらは、「Fancy Bear」として知られる集団のメンバーだ。
起訴の前日には、欧米諸国で政治への不満をかき立てる目的でサイバー攻撃を行ったとして、英国がロシア軍の情報部を非難している。英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、2016年に起きた米民主党全国委員会および世界反ドーピング機関(WADA)へのハッキングにGRUが関与していたとの結論を下した。
こうした活動はすべて、サイバーセキュリティをめぐって米国とロシアの緊張が高まる中で行われている。米国は、11月の中間選挙への干渉を特に懸念している。
4日の起訴とは別に、米特別検察官Robert Mueller氏は、ロシアによる米大統領選挙への干渉を捜査してきた。同氏は7月に、2016年の大統領選に絡む民主党全国委員会へのサイバー攻撃に関与したとして、ロシア人ハッカー12人を起訴した。
4日に詳細が明らかになった捜査で、米司法省国家安全部門担当司法次官補のJohn Demers氏は、英国とオランダの合同諜報作戦により、GRU局員4人が化学兵器禁止機関のサイバーセキュリティを侵害しようとして「ハーグで現行犯逮捕された」ことを公表した。
化学兵器禁止機関は、シリアにおける化学兵器の使用と、3月に英ソールズベリーで起きた元諜報局員Sergei Skripal氏とその娘Yuliaさんに対する毒殺未遂事件を調査中だった。
ロシアのハッカーは、ペンシルベニア州にあるWestinghouseの原子力発電所も標的にしていたと、同州西部地区担当連邦検事のScott Brady氏は述べた。同氏は、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」