職場などで作業をしていると、自分のPCをほかの人に操作してもらったり、逆にほかの人のPCを操作したりする状況になる。人によって体形や体の使い方は異なるため、キーボードやマウスを置く位置、ディスプレイの角度、画面の明るさなど、PC操作の設定も人それぞれだ。設定をその都度変えるのは面倒だし、元の設定に戻すのも手間がかかる。
そこでAppleは、ユーザーに合わせて操作環境を自動的に変更する技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間9月27日に「ERGONOMIC ADJUSTMENTS」(公開特許番号「US 2018/0275860 A1」)として公開された。出願日は2017年9月28日。
この特許は、PCなどのデバイスにおいて、使おうとしているユーザーを何らかの手段で識別し、そのユーザーに合わせた操作環境を自動的に提供する技術を説明したもの。操作環境を変える際、変更するのはあくまでもディスプレイの向きなど機械的操作にかかわる設定だけで、デバイス内のデータ環境は変更前の設定を引き継ぐ。
Appleは、ユーザー識別手段としてカメラによる顔認識、操作環境としてディスプレイの向きを例に利用し、特許の内容を説明している。たとえば、あるユーザーがPCを使うときはディプレイを縦長(ポートレート)に設定し、別のユーザーが使うときは横長(ランドスケープ)にする。さらに、ユーザーが変わるタイミングで操作環境の変更を実行させるかどうかについて、前のユーザーから許可を得る仕組みにも言及している。
変更対象の環境は、ディスプレイの向きに限定されず、さまざまなものが考えられる。ユーザーを識別する手段も、この特許は顔だけでなく指紋やログイン情報などでも適用可能だ。
さらに、日差しの有無や昼なのか夜なのかといった外的要因も、操作環境を変更するかどうかの判断に利用する。たとえば、晴れて明るいときは画面の明るさを上げ、夜になって暗い場合は明るさを下げるといった具合だ。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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