マイクロソフトが"デジタル版ジュネーブ諸条約"実現に向け「Digital Peace Now」開始

Catalin Cimpanu (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2018年10月02日 12時18分

 Microsoftは米国時間9月29日に、「Digital Peace Now」イニシアチブを開始した。これは国家が支援するサイバー兵器の使用原則について、世界中の政府機関に合意を呼びかけるキャンペーンだ。

 Digital Peace Nowキャンペーンは、ニューヨークのセントラルパークで開催された7回目となる「Global Citizen Festival」で発表された。

 Microsoftは、世界中のユーザーが同社の取り組みに対する支援を表明できるように、請願書に署名できるオンラインポータルも立ち上げた。

 Microsoftによると、Digital Peace Nowイニシアチブは、以下のことを提唱するための取り組みだ。

  • 国家が支援するハッキングサイバー攻撃ツールの使用制限について、諸国間で合意。
  • 「デジタル兵器」の開発と使用について、世界的規則を定める諸国間で大筋で合意。
  • 合意原則に違反した国々やその他の関係者を調査し、責任を追求できるように、官民を巻き込んだ独立した国際組織の編成。

 Digital Peace Nowイニシアチブに対する取り組みは、2017年2月にさかのぼる。Microsoftの最高法務責任者(CLO)であるBrad Smith氏が、サイバー兵器の使用とまん延を制限して管理するために、世界各国に協力と協定への署名を呼びかけたのが発端である。紛争時に適用されるジュネーブ諸条約のデジタル版に相当し、民間人などを保護するのが狙いである。

 Smith氏がこのような条約制定を提唱し始めたの背景には、2017年に世界中で猛威を振るった「NotPetya」ランムウェアの背後に、ロシアの諜報機関がいることが判明したことなどがある。

 そしてMicrosoftは今、国々が団結してサイバー兵器の使用について法制化できるように、一般市民と民間部門の両方を含む、国民の支持を得ようとしている。

 政府機関がサイバー兵器を不用意に使って、市民や民間部門に被害を及ぼすことがないように、そうした兵器の標的を政府機関に限定し、違反した国を罰する一連の規則を定めたい考えだ。

 Microsoftはさらに、米国、メキシコ、ドイツ、フランス、インドの5カ国を対象に実施した調査結果も公表した。回答者の大多数は、国家間のハッキング攻撃がもたらす影響を制限する合意に支持しているようだ。

 MicrosoftのDigital Peace Nowは、サイバーセキュリティを推進するICT4Peace、市民社会の参画のための世界同盟であるCivicus、インドのシンクタンクObserver Research Foundationなど、政策立案に関する非営利団体の支持を得ている。

Digital Peace Now
提供:Joseph Augstein (provided)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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