サイバーエージェントは10月1日、J2リーグクラブ「FCゼルビア」を運営するゼルビアの株式の80%を約11億4800万円で取得したことを発表した。残りの20%はFCゼルビア町田をこれまで支えてきた少数の株主が継続する。経営権はサイバーエージェントに移るが、ゼルビアは引き続き大友健寿氏が社長を務める。
同日の記者発表会で登壇した、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏は、「私自身も初めて東京に出てきたのが町田周辺だったので非常に親近感がある」とコメント。今後はサイバーエージェントグループの一員としてグループシナジーを生かすことで、FCゼルビアのJ1ライセンスの取得と、Jリーグのトップクラブへの成長をともに目指すとしている。
FCゼルビアは、1977年に少年サッカーチームから始まった東京・町田発のクラブ。全国大会での小学生の活躍を受けてジュニアユース(U15)、ユース(U18)を結成後、1989年にトップチームが結成されたという、Jリーグクラブの中でも珍しい、大企業ではなく地域・市民が作り上げたサッカークラブだ。
10月1日時点で、J2での成績は3位となっており初優勝も狙える状況だが、定められた施設基準を満たしていないことから、現状J1への昇格は難しいという。そこで、サイバーエージェントが資金援助し、天然芝の整備やクラブハウスの建設をサポートするとしている。
さらに今後は、AbemaTVをはじめサイバーエージェントが運営する多数のインターネットサービスを通じて、FC町田ゼルビアのサポーターへの情報提供やサービスの充実、新たなサポーター層の獲得を図るとしている。また、早期のJ1ライセンス取得を目標に、必要となるインフラ整備に着手するという。
ゼルビア代表取締役会長の下川浩之氏は、「施設は長年の課題だったが、サポートしていただける企業を探していたところ今回のご縁をいただいた。われわれの理念にも共感いただき、施設建設にもご理解いただいたのでグループ入りを決意した」と説明。また、社長の大友氏は「運営側としては身の引き締まる思い。われわれが任された部分とご協力いただける部分を生かしながら結果を出さないといけない」と意気込みを語った。
なお、サイバーエージェントは2006年に東京ヴェルディ運営企業の株主になっていたがわずか2年で撤退していた。この点については、「当時は筆頭株主ではなかったため、なかなか思うような経営ができなくて撤退という形をとった。また、10年以上前は企業規模的にも支えきれなかった」(藤田氏)と振り返る。再挑戦については、「今回改めて、Jリーグの成長性・将来性に非常にポテンシャルが大きいと感じた。(楽天の)三木谷さんが海外のスター選手(イニエスタ選手)を日本に呼ぶ流れもあるし、東京発のビッグクラブが出るんじゃないかと思っている」と期待を述べた。
また、サイバーエージェントのFCゼルビア買収にともない、グループ企業のCygamesがサガン鳥栖のスポンサーから撤退すると報じられている件については、「今回の意思決定には全く関わっていないので別問題。(一般的に)グループ企業が他チームをサポートしている例はほかにもある」(藤田氏)と関与を否定した。
【編集部注:10月1日15時】当初、株式の取得金額を約9.2億円と記載していましたが、こちら約11.48億円の誤りとなります。訂正してお詫びいたします。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス