ヤフーは9月26日、エイベックス・エンタテインメントとの共同出資による合弁事業会社パスレボが、米国最大級のチケット販売会社のAXSと日本国内における独占的なパートナー契約を締結したと発表した。また、パスレボが運営するオンラインチケット情報サービス「Yahoo!チケット」などに、AXSが保有する先端的なチケット技術の導入を開始する。
今回導入したチケット技術は、3Dコンピューターグラフィックスにより再現したスタジアムの各座席からの眺めを体感できる「360度3Dマップビュー」と、観客動員数や行動履歴をリアルタイムに把握できる「電子チップ搭載型リストバンド」の2つ。
360度3Dマップビューは、福岡ソフトバンクホークス協力のもと、福岡 ヤフオク!ドームで開催される「2018 パーソル クライマックスシリーズ パ」の観戦チケットの販売から導入を開始する。ユーザーは座席のブロックという大きな単位ではなく、座席単位で眺めを確認できるようになる。これにより、購入前にドリンクカップホルダーの有無、座席からフェンス際の選手やボールの見え方などを確認、想定可能。
さらに、その画面上から直接チケット購入ができる新たなチケットの購入体験を提供するという。360度3Dマップビューは、すでに2016年からNBAやNHLなど米国のスポーツチケット販売で導入されているが、日本のスポーツ業界では初めての導入になるという。
電子チップ搭載型リストバンドは、先行して9月15日〜17日に東京・お台場で開催された都市型ダンスミュージックフェスティバル「ULTRA JAPAN 2018」で導入。ユーザーのステージ間移動などの行動履歴から、会場内の回遊性を高めるなど、今後のスムーズなイベント運営に活用する。さらに、同リストバンドに決済機能を搭載することで、会場内に財布を持ち込むことなく、飲食やグッズ購入を可能にすることも検討する。
同技術により、(1)さまざまな流通経路でのチケット販売状況を共通の在庫プラットフォームでリアルタイムに管理できる、(2)ダイナミック・プライシング(価格変動形式)で行う販売方法の場合でもすべての販路で瞬時に価格を設定できる、(3)1次、2次流通を統合して、同じ在庫でリセール販売ができる、(4)ユーザーのIDベースのデジタルチケットを転売・偽造防止するため、任意の秒数で可変するQRコード形式で販売する、(5)デジタルチケットのQRコードを認証させると、チケット購入時にセットで注文した飲食やグッズを会場内で受け取れる、といったことが可能になるという。
ヤフーはこれまで、日々価格が変動する価格変動形式(ダイナミックプライシング)のチケット販売や、定価でのチケット譲渡を仲介する公式再販といった新たなチケット販売の仕組みを提供してきた。今回のAXSとの独占的なパートナーシップ契約の締結をきっかけに、よりテクノロジを強化し、国内のチケット販売における課題解決に取り組むとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」