2016年に「Mirai」ボットネットを最初に作成して広めた3人の人物が、米連邦捜査局(FBI)に協力して「他の複雑なサイバー犯罪捜査に相当程度貢献した」として、実刑判決を免れることになったと、米司法省が米国時間9月18日に発表した。
今回の措置の対象となったのはニュージャージー州ファンウッド在住のParas Jha被告(22)、ペンシルベニア州ワシントン在住のJosiah White被告(21)およびルイジアナ州メテリー在住のDalton Norman被告(22)の3名で、2017年12月に罪状を認めていた。
3名が認めた罪状は、のちに「Mirai」の名で知られることになるマルウェアの原型を作成したというものだ。このマルウェアは、ルータや「Linux」ベースのOSで動作するスマートデバイスを感染させるように作られていた。
米当局は、司法省による18日の発表に先だって提出された量刑に関するメモで、この3名が2017年12月に罪状を認める答弁を行って以来、FBIに協力していると述べていた。
司法省によると、3名の被告は、複数のサイバーセキュリティに関わる案件でFBIに協力したという。裁判関連文書には、3名が当局に協力した事件の具体的な名前と日付は書かれていない。だが、サイバーセキュリティ専門家がこの文書を読めば、分散型メモリキャッシュシステム「memcached」を悪用した一連のDDoS攻撃と、クリスマス期間中に発生することが多いDDoS攻撃、さらには「VPNFilter」ボットネットによる攻撃に関する捜査のことだと考えるだろう。VPNFilterは、司法省が以前に国家による持続的標的型攻撃(Advanced Persistent Threat:APT)と指摘したもので、FBIはこの攻撃をロシアの諜報機関の仕業だとする見方を示していた。
司法省は、Miraiを作成した3名が広範囲にわたって米当局に協力したことから、禁錮刑のない判決を言い渡した。3名の被告は5年間の保護監察処分となり、2500時間の社会奉仕活動と12万7000ドル(約1424万円)の賠償金の支払いを命じられた。また、捜査中に押収された「相当量」の仮想通貨を自ら手放した。
減刑措置の一環として、3名は今後もFBIとサイバーセキュリティ業界に協力することを義務付けられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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