ご近所SNS「マチマチ」を運営するマチマチは9月14日、神戸市と関西の自治体では初となる「マチマチ for 自治体」の協定を締結したと発表した。神戸市専用のアカウントから地域に密着した情報を発信し、地域コミュニティの活性化や情報発信の最適化・効率化を支援するとともに、防犯や防災の強化にもつなげたいとしている。
日本の60%の地域で利用されている日本最大の地域限定型SNSであるマチマチは、2017年6月よりマチマチ for 自治体の提供を開始し、今回の神戸市を含めた13の自治体と連携している。災害が増えたことで地域コミュニティの必要性が見直されており、地域密着型SNSを活用したいという自治体の数は少しずつだが増加傾向にある。
神戸市市民参画推進局長の岡田健二氏は「地域に密着した情報を発信する窓口の1つとしてマチマチを活用し、少子高齢化や単身世帯の増加で住民同士の助け合いが難しい地域やマンション住民が地域活動に参加するきっかけをつくりたい」とコメント。実名と地域の登録が必要なことから「顔の見える地域社会」づくりでコミュニティの運営を支援する。また、自治会の回覧板代わりにマチマチを使用したり、2018年内の実施を目指す町会費の徴収代行機能を利用するといったことも視野に入れながら連携を進めるとしている。
神戸市は先日、フェイスブック ジャパンと地方創生支援を目指した事業連携協定を全国で初めて締結したばかり。Facebookでは主にビジネスや市外に向けた幅広い情報を発信するのに対し、マチマチでは地域に住む住民を対象にした情報を発信する。
当初はFacebookやTwitterなどで発信している情報発信の転載から運用を始める。引っ越しや出産を機会に利用するユーザーが多いことから、まずは転入者や子育て世代に向けてツールを紹介するチラシを配布し、徐々に利用者を増やしていく計画だ。「要請があれば講習会を開くことも検討し、市民が主体となって活用できる場に育てていきたい」(岡田氏)。
マチマチ代表取締役の六人部生馬氏は、「マチマチは地域の情報インフラであり、自治体がプラットフォームとして利用するケースが増えている」と説明。利用者の7割が女性で子育て世代の母親が中心だが、自治体と連携すると地域に関わりたいという定年前後世代の利用者が増える傾向も見えてきたという。これも踏まえながらサービスの方向性を考え、開かれた地域社会を築く手助けとなる機能を提供していくとしている。
たとえば、利用者に提供する情報の範囲は単純に距離だけに限定せず、独自のアルゴリズムで設定できるようにしている。また、SNSでは避けられない荒らしや炎上に対しては、投稿のルールを明確にした上でスタッフが目視で監視し、安心して利用できる環境を提供している。現在は広告モデルで運用されているが、「10年ぐらいかけて社会インフラとして育てる」ことを目指しており、数多くのVCから支援を得ている。
今後の課題は地域に役立つコンテンツをどれだけ提供できるかであり、そのためにも自治体との連携に力を入れていく。地域密着型SNSは大手サービスやチャットコミュニティとは異なるサービスとして世界的に注目を集めているだけに、マチマチがこれからどれだけ地域に密着できるサービスになるかが気になるところだ。
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