ANAホールディングスは9月14日、「ANA Travel Wellness 乗ると元気になるヒコーキ」プロジェクトを同日より始動したと発表した。
サービスの第一弾は、「時差ボケ調整アプリ」だ。まずは実証実験として社内や一部の関係者向けに10月以降からスタートし、2019年4月以降に一般に向けたアプリの提供を予定している。
一般的に、時差ボケは軽く見られがちだが、疲労感や睡眠障害、頭痛、集中力の低下など、渡航先や帰国後のパフォーマンスに大きな影響をもたらすことがある。東京大学 医学系研究科 健康教育・社会学分野 准教授の近藤尚己氏によれば、「時差ボケによる可能性のある健康リスクは、不眠症、抑うつ、代謝異常、肥満、免疫不全、がん。回復に必要な期間は、数日から1週間以上で、通常1日の休養や睡眠で回復する“旅の疲れ”とは別概念」と語る。
医科学的な根拠を解明するため、ハーバード公衆衛生大学院社会行動科学学部学部長のイチロー・カワチ教授らの研究グループと協力し、時差ボケに対する意識調査や日常の行動と時差ボケの関連性を研究した。
その結果、飛行機に搭乗した際、疲労を感じる一番大きな要因が「時差ボケ」であることがわかり、その時差ボケを誘因する要素として、音・光・食事との相関が高いこともあわせて判明したという。
研究結果を踏まえ、夜勤のある企業の睡眠対策などを手がけるニューロスペースと共同で、2019年4月のサービス開始を目指して「時差ボケ調整アプリ」の開発に着手した。
ANAのシステムと連動し、ANAの予約番号を入力してフライト情報と連動する、あるいは自身でフライト情報を入力するといったことを考えているという。
アプリの具体的な内容は、出発地と渡航先とどの程度の時差があるのか。また、フライト情報や現地での予定をもとに、時差ボケを調整するために必要な光の浴び方や食事のとり方、睡眠・仮眠の取り方、体の動かし方など、やると良いこと、やってはいけないことをアドバイスする。出国前、渡航中、帰国後のそれぞれのタイミングに合わせ、タイムライン形式で個人に最適化した情報を提供する予定だ。
たとえば、ホノルルと日本の時差はマイナス19時間だ。簡単に時間を計算すると、日本の時間+5時間となる。日本国内で16時半ならば、ホノルルは21時半となり、強い光に注意したほうがいいこと、夕食を早めにとるようにして体内時間を意図的に早めるようなアドバイスが受けられる。
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