フレンチテックの代表格の1つとして注目を集めるDevialet(デビアレ)が日本に上陸した。販売するのはワイヤレススピーカの「PHANTOM」。伊勢丹のバイヤーの度肝を抜き、日本発売前でありながら、エイベックスの本社に導入済みという話題のスピーカが9月6日、日本で正式に発表された。
Devialetは2007年に設立したフランスのスタートアップ。108件の特許を持つスピーカブランドで、自社ブランドを展開するほか、テレビ、自動車、セットトップボックスなどを手がけるメーカーに技術を提供するパートナー契約も結ぶ。
特許技術の1つである「ADH(Analog Digital Hybrid)」は、アナログとデジタルの“いいとこ取り”により、今までにない再生音を実現。Devialet Japan 開発マネージャーであるルカ・フェネック氏は「音の増幅技術は、音は良いが効率が悪いアナログ方式か、音は悪くなるが効率の良いデジタル方式の2つしかなかった。ADHはその2つの技術のメリットをキープしながら、音を増幅できる技術。これにより世界で一番純粋な音を再生できる」と、自社技術を表現する。
ADHを搭載したPHANTOMは、出力数の異なる3モデルを用意。1200Wの「THE NEW PHANTOM」(税込価格:24万9000円)、3000Wの「SILVER PHANTOM」(同:31万9000円)、4500Wの「GOLD PHANTOM」(同:39万9000円)をそろえるほか、実店舗も構えるパリオペラ座とコラボレーションしたエクゼクティブエディションの「Gold Phantom Opera de Paris」(同:44万9000円)もラインアップする。
いずれも、前方から見ると円形、横から見ると楕円形をしたラウンドボディで、ウーファを2つ、ミドルスピーカを1つ、トゥイータを1つ搭載した3ウェイ4スピーカ構成。独自の低音再生技術「HBI(Heart Bass Implosion)」により、超重低音を再生する。Bluetooth、Wi-Fi接続によるワイヤレス接続ができるほか、複数のPHANTOMを組み合わせて再生する「MULTIROOM」機能も備える。
すでに、世界各国で販売しており、アジアでは香港、シンガポール、台北に続き東京が4つ目の拠点になる。日本への導入は以前から検討していたが、日本語を得意とするフェネック氏や、販売を担う、伊勢丹、蔦屋家電との出会いがあり、今回の発売にこぎつけたという。
販売を手がける、三越伊勢丹 伊勢丹新宿店 新宿リビング・ソリューション・IDS営業部営業部長の梅田大輔氏は「PHANTOMとの出会いは2017年の夏。デモを受けたスタッフの1人が音を聞いて度肝を抜かれた。その後、春に香港で試聴したスタッフがまた度肝を抜かれて帰ってきた(笑)。その後スタッフから強く勧められ、聞いてみたら、バイヤー全員が度肝を抜かれて販売に至った。音はもちろん左右のパーツが心臓のように音に合わせて動くギミックがあり、視覚的にも本能に訴えかけるものがあると思う」とコメントした。
また、エイベックス グループ執行役員の加藤信介氏は「資本関係はないが、社内には10台のPHANTOMが置かれている(笑)」とすでにヘビーユーザーになっているとのこと。「初めて音を聞いた時はびっくりした。特に重低音の響きが素晴らしく、早く欲しくなって日本発売前に会社に導入してしまった。PHANTOMは日本の音楽を聴く環境を変える可能性があると思っている」と、ユーザーならではの感想を話した。
PHANTOMは、伊勢丹新宿店本館5階に常設コーナーをオープンするほか、二子玉川の蔦屋家電でも取り扱う。
発表会に登場した駐日フランス大使のローラン・ピック氏は「Devialetは、フランスでも気鋭のフレンチテック企業。すでに大きな成功を収めており、スタートアップの時期を過ぎ、成熟した企業になりつつある。細部にまでこだわったモノづくりで、音のクオリティを維持するため、設計から製造まで、すべての工程をフランス国内で行っている。だからこそこのクオリティで提供できる。フランスはスタートアップ企業を育む国。フレンチテックを作り上げたように日本においても同じようなスタートアップ企業を支えられる。日本とフランスのテクノロジ分野におけるさらなる協業を望む」とコメントした。
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