フレキシブル携帯が再び注目を集めようとしている。
フレキシブルディスプレイは、サムスンの「Galaxy」携帯や、2013年にLGが発売した「LG G Flex」のほか、2018年のCESで発表された、OLEDディスプレイをポスターのように巻き取って収納できるローラブルテレビに搭載されているものの、完全に折り曲げられる携帯電話はまだ登場していない。
しかし、カリフォルニア州フリーモントに拠点を置くRoyole("royal"と同じ発音)は、その実現を目指している。同社は厚さ0.01mmで、折り曲げ可能な柔軟性を有しており、風にはためきすらする、非常に薄いOLEDディスプレイを開発した。また、そのディスプレイを搭載する携帯電話のハードウェアについても開発を進めている。
このコンセプトは未来の携帯電話としての可能性を秘めているため、一部の大手携帯電話メーカーは既に検討を始めている。例えばAppleは、フレキシブルディスプレイを搭載した折り畳み可能な携帯電話の特許を保有している。また、サムスンもフレキシブルで「割れない」OLED画面を搭載した携帯電話を開発中だと報じられているほか、幹部も折りたたみ式スマートフォンの開発にたびたび言及している。こういった機器は、携帯電話の販売が減速しているなか、より多くの携帯電話を販売するために業界が必要とする革新的なけん引力になるかもしれない。
Royoleの折り曲げ可能なフレキシブル携帯電話のデザインは、腕や手首に巻き付けたり、まっすぐにのばしてキャンディバー型の携帯電話として使用できるようにすることが想定されている。8月27日の週に実施されたわれわれとの会合の場にはプロトタイプが間に合わなかったものの、Royoleは翌週にドイツのベルリンで開催されるIFAカンファレンスでこのフレキシブル携帯を披露すると述べていた。
カリフォルニア州に本社を置くRoyoleは、中国に工場を抱えており、他社との協業により衣服や自動車からスピーカーに至るまでのあらゆるものにフレキシブルディスプレイを搭載しようとしている。現在販売されている商品には、ディスプレイを搭載した900ドル(約10万円)の布製の帽子(頭の部分にディスプレイが縫い付けてある)がある。また、上述した巻き付け可能な携帯電話も現在開発中だ。
筆者はRoyoleのディスプレイを間近に見ることができた。このディスプレイはタッチスクリーンではなかったが、200~300ppiのシャープかつ鮮やかなものだった。また、重量もとても軽く、扇風機の風が下から当たっていたためにずっとひらひらしていた。
巻き付け型の携帯電話という発想は過去にもあった。Lenovoは2016年に、同様に折り曲げ可能な「CPlus」というコンセプトスマートフォンを披露している。携帯電話の機能にウェアラブル機器のポータビリティを融合したCPlusは、腕や手首に巻き付けられ、指でのディスプレイの操作も可能となっている。その時も、フレキシブル携帯の未来が語られていた。
RoyoleやLenovoに加えて、複数の大手IT企業もこのアイデアに取り組んでいる。最近も、サムスンやHuaweiが「折り畳み可能な」携帯電話を開発中だと報道されている。うわさによると、こういった機器はZTEの「AXON M」のように、ヒンジで2つのディスプレイをつなげた形状だという。少なくとも携帯電話メーカーがこのようなフォームファクタの製品を検討しているのは確かだろう。
こうした大小さまざまな企業が折り曲げ可能なディスプレイやハードウェアを開発しようと競争を繰り広げるなか、世界初の柔軟な携帯電話を購入できる日は意外に早くやってくるのかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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