日本初のドローンに特化したファンド「Drone Fund」が誕生した。コロプラ共同創業者で同社副社長などを務めた、起業家の千葉功太郎氏が責任者として立ち上げるもので、6月1日より本格始動する。
国内のドローン市場規模は、2017年では221億円だが、2020年には1406億円に成長すると言われている。また、産業別では農業との相性が非常によく、2020年には農業だけで500億円規模と予測されているほか、インフラや外壁、工事進捗管理などの検査市場が358億円とさまざまな産業での活用が期待されている。
しかし、日本はドローン産業においては発展途上であり、ドローンの世界シェア7割を占めるDJIなど、数多くのベンチャーを有する中国が最先端を走っている。千葉氏は、世界では日本のドローンスタートアップはほぼ認知されていないと指摘。日本のスタートアップが育つためには、リスクマネーの投資、インターネット業界的経営手法、良質なテクノロジとの連携が必要になってくるという。
ドローンファンドでは、日本から世界にはばたくドローンスタートアップ育成を支援。投資は10億円規模を想定しており、千葉氏が手がける起業家コミュニティ「千葉道場」の経営ノウハウを活用する。また、国内外の研究者ネットワークと町工場ネットワークを持ち、スタートアップのものづくりをサポートする知識プラットフォームのリバネスと業務提携を締結している。
また、慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムと連携し、ファンド立ち上げ時は11社への出資を予定している。ファンドのアドバイザリーボードは、ORSO代表取締役社長で慶應義塾大学の同研究所所長の坂本義親氏、日本マイクロソフト業務執行役員の西脇資哲氏、シンクル事業長の尾原和啓氏、慶應義塾大学政策・メディア研究科特任講師の高橋伸太郎氏、クリエイティブホープ代表取締役会長の大前創希氏、アスラテックロボットエバンジェリストの今井大介氏が務める。
出資する11社は、農業向けリモートセンシングを手掛けるDrone Japan、日本やアフリカでのドローンによる測量、検査事業を展開するCLUE、24時間連続飛行を実現したドローンによる地球規模のメッシュネットワークを構想するiROBOTICS、ホバーバイクを開発するAERIAL LAB、非GPS環境下での自己空間位置推定システムを手掛けるyodayoda、離島陸海空での物流用ドローンと航空管制システムを開発するかもめや、ドローンレース「Drone Impact Challenge」を手掛けるFPV Robotics、地域創生空撮サービスを提供するドローンエモーション、ドローン特化型人材派遣業務を持つDRONE DEPARTMENT、AERONEXTとなる。
なお、政府では小型無人機に関する官民協議会を複数開催しており、その中では自動運転と同じく、レベル1からレベル4までの自動飛行に関する定義が決められている。レベル1は、目視内での有人飛行、レベル2が目視内の自動飛行を指し、目視外かつ無人地帯(海や山など人里離れた場所)で自動飛行するレベル3は2018年、目視外かつ有人地帯での自動飛行を実現するレベル4は2020年初頭での実現を目指している。
千葉氏は「ドローン前提社会」が到来するとしており、さまざまなインフラとして「自動飛行で、海や山や地域だけでなく東京の真上もドローンが飛び交うようになる」と説明。また、「インターネットが始まったようにすべての産業にドローンが入り込んでくるようになる。ただのラジコンではなく社会基盤になる」とした。
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