デューク大学とGoogleの研究チームは、タンパク質の構造解析などに使うタンパク質結晶を、顕微鏡の画像から自動的に見つけ出す深層学習(ディープラーニング)アルゴリズムを開発した(デューク大学、Google)。結晶生成作業の大幅な省力化につながり、新薬の開発を加速する可能性もあるとしている。
多数の原子が集まって構成されるタンパク質は、複雑な構造をしていて、その構造によって化学的な特性が大きく異なる。タンパク質の構造を把握できると医薬品の開発に役立つため、X線結晶解析という技術で構造解析する。ただし、この方法で構造を調べるには、タンパク質の結晶を入手しなければならない。
塩や砂糖といった比較的単純な構造の分子の場合、結晶の生成は容易だ。これに対し、タンパク質は多数の原子で構成され、数万個の原子でできた複雑なものもあり、結晶化が難しいという。
さらに、結晶を作る溶液には多種多様な物質が含まれていて、それらの粒子とタンパク質の結晶を識別し、タンパク質結晶だけを選び出す必要がある。この作業は、人間が顕微鏡をのぞきながら手作業で実行するため、負担が大きく、見落としや間違いが発生しやすいそうだ。
研究チームは深層学習ソフトウェアを採用し、タンパク質の結晶画像を使って学習させた。その結果、約95%の精度で結晶識別に成功した。ちなみに、人間が同じ作業をする場合の精度は85%程度だという。
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