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プレミアムインタビュー

アドウェイズ岡村社長が考えるデジタル広告の「本質」

藤井涼 (編集部) 渡徳博(カメラマン)2018年07月20日 08時00分
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 アフィリエイト広告から始まり、今やネイティブアド、リワード広告、効果測定ツール、さらには東アジアを中心とした海外向け広告など、幅広い領域でインターネット広告事業を展開するアドウェイズ。同社の代表取締役社長である岡村陽久氏は、中卒や最年少上場社長(当時)といった異色の経歴や、破天荒な人柄がフォーカスされがちだが、事業や組織についてどのような哲学を持っているのだろうか――。

 インタビューを通して、「事業」「組織」「日常」の3つの視点から深堀りすることで、岡村氏の素顔に迫った(全3回)。第1回の「事業編」では、主力事業であるインターネット広告事業の直近の状況や、岡村氏が考える現代の広告の在り方について聞いた。

運用者のノウハウを“自動化”する

――アドウェイズでは、さまざまなインターネット広告事業を手がけていますが、その中でも最も注力し、伸びている事業はどこになるのでしょう。


 売り上げについては、創業当初から手がけていたアフィリエイト広告事業と、ここ5〜6年で立ち上がってきたスマートフォンのアプリ向け代理店事業が数字としては大きいです。それに加えて、海外向け事業とアドプラットフォーム事業の4つに注力しています。数字でいうと前者2つが伸びているのですが、これからより注力する領域でいうと後者の2つですね。

 特にアドプラットフォームでは、モバイルアプリ向けの全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN(ユニコーン)」に力を入れています。従来の運用型広告は、効果を出すためにクリエイティブを変えたり、配信先を変えたりと、運用者がノウハウを持ってやっていたのですが、ここを完全に自動化しました。これにより、われわれは広告の戦略やクリエイティブの内容など、より本質的なところに目を向けられるようになります。

モバイルアプリ向けの全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN(ユニコーン)」
モバイルアプリ向けの全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN(ユニコーン)」

――2004年から海外でインターネット広告事業を始めるなど、早いタイミングで海外に目を向けていますが、その理由は。また特に成長している国やソリューションはありますか。

 当時はアフィリエイトがすごく伸びていたので、このモデルを国外でも展開しようということで中国で開始したのがきっかけです。現在は台湾、韓国、インドなどにも展開していますが、特に中国は非常に伸びていますね。中国のゲーム会社が日本に進出する際のプロモーションなども担当しています。また、日本のコマース企業が多いのですが、中国や台湾の方に広告を出して日本から商品を配送する越境ECがすごく伸びています。

――5月には韓国サムスンとグローバル提携し、韓国の「Galaxy」端末ユーザー向けに、アプリの事前予約サービス「予約トップ10」を提供すると発表しました。

 サムスンのGalaxyにプリインストールされているランチャーアプリ内の広告枠に、われわれのコンテンツを提供するもので、規模としてはかなり大きいものになります。

 これまでスマートフォンの海外広告事業は、なかなかうまく波に乗れなかったところがあって、代理店事業以外の強みを持ちたいというところで、予約トップ10というメディアを海外5カ国くらいに展開し、その中である程度うまくいったのが韓国でした。今回のように自社の強みを対外的な会社と提携することでより伸ばすことができたので、これをどの国でもきちんとできる体制にしたいと思っています。

アプリの事前予約サービス「予約トップ10」
アプリの事前予約サービス「予約トップ10」

アドウェイズは「営業の会社」ではない

——アドウェイズに対して「営業が強い会社」というイメージを持っていたのですが、実際はどうなのでしょうか。

 僕がアドウェィズを立ち上げる前に営業会社にいたこともあって、そういうイメージがついていると思うんですが、実際にはそんなことはないと思います。よく驚かれるのですが、いま社員の半数はエンジニアです。

 弊社のビジネスモデルでいうと、実は既存のお客様への売り上げが95%で、新規は5%くらいしかないんです。いま伸びている領域も、既存のお客様からいただく予算が上がったことによるものなので、営業をして顧客を増やしているというよりは、これまでの運用やクリエイティブがうまくいっているということですね。また、弊社は技術的に新しい領域にも積極的に進出しているので、新しいものに興味のあるクライアントさんから選んでいただけることもあります。


 確かに、2009年くらいまでは営業会社というイメージもあったかもしれません。当時のインターネット広告業界はあまり差別化できることがなく、特にアフィリエイト各社は同じような機能を提供していたので、どうしても営業をして顧客を獲得するといった側面が強かったですが、スマホが登場する少し前から徐々にサービスで差別化ができ始めて、会社の考え方や、数字の作り方も変わりました。クライアントに寄り添いながら成長をサポートし、その中でいかに広告費をいただけるかという発想で事業を展開しています。

岡村氏の考えるデジタル広告の本質

——デバイスやマーケティングツールが日々進化している中で、いまの「広告」にはどのような価値や役割があると考えますか。

 創業時からデジタル広告に携わっていますが、市場の成長に合わせてわれわれの業績も伸びています。ただ、広告の価値という話でいうと、たとえばテレビCMって視聴者の数は減っていると思うのですが、広告自体の価値はあまり変わっていないと思っています。やっぱり、CMで見て気になったり、CMで聴いた曲が耳から離れなかったりすることってあると思うんです。

 その一方で、デジタル広告を見てユーザーが感動したみたいなケースって、まだそんなにないと思います。それどころか、ずっと特定の広告がついて回るようなこともあって、すごく煙たがられる存在になっているなという実感があります。そこから脱却しなければいけないのですが、この下地を作っている原因が何かと考えると、あまりにもきれいにKPIがトラッキングできてしまうので、その数字をどんどん良くしようという動きだけが業界内で先行しているなと感じています。


 特に、最近騒がれているのがアドフラウド(広告詐欺)です。たとえば、ウェブサイトを見ていてタップしたくないのに誤って広告をタップしてしまった経験がある人も多いと思います。とりあえずユーザーに間違えてタップをさせて、「これが広告効果です」と言い張るような代理店がすごく増えていると感じています。まずは業界としてそういうところを改善していかないと、デジタル広告自体がどんどんダメになってしまうんじゃないかと危惧しています。

 その中で僕らが提供するUNICORNでは、きちんとユーザーが広告を見て気になった時にクリックをして、実際にインストールをしているタイミングを機械学習によって追いかけることで、ユーザーを不快にさせない広告、かつクライアントにとっても効果のある広告を提供しようとしています。われわれはアフィリエイトから始まった会社なので、真の効果を提供することにはこだわっていて、クライアントもそこは分かってくれています。これからも、誠実に経営している代理店や広告会社が評価されるんじゃないかなと思います。


 もう一つデジタル広告に感じていることが、ここ10年くらいでユーザーの過去の行動をベースにしたレコメンド技術というのはかなり進化していますが、その一方で突発的な出会いがどんどん減っているように感じます。本屋などがまさにそうだと思うのですが、買うものが決まっていないまま本屋に入ったら、ある本に突然目を惹かれて買ってしまったみたいな経験があると思います。

 これがデジタルになってから、結構失われていると思っていて、こういった部分を本来は広告が担っていくべきなんじゃないかと思います。今後はよりレコメンドで興味関心に近しいものをお勧めしてくれるようになると思いますが、一方でその人が発想もしなかったけれど、いいなと思えるようなものを届ける、潜在的なユーザーとクライアントをつなげるような広告には、まだまだ価値があるんじゃないかなと思います。

※第2回「組織編」は7月21日(土)に掲載

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