不動産テック協会準備委員会は7月10日、協会設立準備セミナー第2弾を開催した。「不動産テック協会の概要発表と設立時理事によるパネルディスカッション」と「海外不動産テックの最新情報と日本の不動産業界へのインパクト」をテーマに、最新の不動産テック事情などについて話した。
不動産テック協会準備委員会は、不動産テックマップの作成・更新・報告、海外事例の調査・報告などを中心に活動していく方針で、現在8月の協会設立を目指し準備を進めている。
不動産テック協会の概要発表と設立時理事によるパネルディスカッションでは、不動産テック協会の最新動向を報告。協会設立にあたり、代表理事をリマールエステート代表取締役社⻑の⾚⽊正幸氏とダイヤモンドメディア代表取締役社⻑の武井浩三氏が務めるほか、8名の理事と7名の顧問を発表した。
今後は、不動産とテクノロジの融合を促進し、不動産関係者の利便向上、情報格差解消、労働生産性向上を実現し、不動産取引を活性化させるための活動を推進していく。
また、「情報化・IoT部会」「流通部会」「業界マップ部会」「海外連携部会」と4つの分科会を用意し、それぞれの状況調査や活用案、対策案などを検討するとした。
第2部となる、海外不動産テックの最新情報と日本の不動産業界へのインパクトのセミナーでは、三井不動産の北崎朋希氏が米国不動産テックの最新動向、WeWork Japan リージョナルディレクターの豊田慧氏がシェアリングオフィス「WeWork」の取り組みと今後の展開について話した。
北崎氏は、米国における不動産テックは1987年頃に始まっており、2004~2005年頃に「REDFIN」「Zillow」が登場。2008年頃に「Airbnb」などが登場し火がついたと説明。資金調達額も拡大基調にあるが、その6割が米国に集中しており、不動産テックの中心は米国であると現状を話した。
2012年頃からクラウドファンディングが盛り上がりを見せ、現在は、Airbnbや「HomeAway」「Opendoor」などのマーケットプレイス系の企業が増えてきているとのこと。また、リーシング、ビルマネジメントなどのマネジメントツール系は2017年頃から大きな注目を集めているという。
今後については「既存不動産業にとってのライバルはGoogle、Amazon、Facebook」とし、Google Venturesが不動産、建設テックに相次いで投資していることや、2017年11月にFacebookが住宅版マーケットプレイスを開始したという事例を紹介した。
WeWork Japanの豊田氏は、シェアリングオフィスWeWorkの海外での活動や日本における今後の展開について話した。
WeWorkは、新橋、丸の内、銀座、六本木、日比谷にワークスペースを構えており、間もなく神宮前に新スペースを開設する予定だ。「日本には2017年にソフトバンクと合弁会社を設立する形で進出。働き方改革などのキーワードが出てきたタイミングであり、労働時間や人材が足りないと言われる現在の環境をワークスペースの立場からどうサポートできるかを考えている」(豊田氏)という。
現在、米国ではワークスペース以外に「WeLive」「WeGrow」「WeMRKT」というプロダクトを用意しており、暮らしや学びの場も提供しているとのこと。「WeWorkでは働いている時間にスペースを提供しているが、夜間や週末などは同じスペースを別のアクティビティに活用できる」とした。
日本においては、横浜、大阪、福岡などにも拠点を増やしていく計画で、WeLiveなどの新たな展開も見据えている。
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