メルカリ上場、時価総額7172億円に--山田会長「テックカンパニーとして世界目指す」

 メルカリは6月19日、東京証券取引所マザーズに新規上場したと発表した。初値は5000円と売出し公募価格の3000円を超え、5300円で取引を終えた。また、一時ストップ高になる場面も見られ、終値ベースの時価総額は約7172億円。マザーズの時価総額ランキング2位のミクシィ(約2318億円)と3倍以上の差をつけた。

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(左から)メルカリ執行役員CFOの長澤啓氏、同社取締役社長兼COOの小泉文明氏、同社代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏、同社取締役CBO兼US CEOのジョン・ラーゲリン氏

 メルカリは、同社代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏が2013年2月に立ち上げたコウゾウがベースとなっている。2013年7月にフリマアプリ「メルカリ」をローンチし、同年11月には社名をメルカリに変更している。現在は、ユニークユーザー数1054万、月間流通額327億円、アプリ累計ダウンロード数が7100万を突破するなど、フリマアプリのトッププレイヤーとして不動の地位を得ている。また、2014年1月には米国子会社を設立し、2017年3月にはイギリスにも進出するなど、海外進出も積極的だ。

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メルカリのユニークユーザー数やダウンロード数といった現状
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現在の規模に拡大しても、成長率は50%以上をキープしている

 上場について山田氏は「より一層、社会の公器としての責任に真摯に向き合い、皆様に信頼されてもらえる企業として努力する。上場を通じて成し遂げたいことは、テックカンパニーとして世界を目指す」と述べたほか、株価についてはコメントする立場ではないとしつつも「(株価は)高い評価を頂いている証だと思う。身を引き締めて経営にあたりたい」とした。

 山田氏は、「サービスの体験やUIなどを改善することで、個人間取引を拡大してきた。また、最近では撮影した写真からAIが商品名や価格を算定できるなどテクノロジを導入している。こうした差別化は世界展開の武器にもなると思う。これからは日本を代表するテックカンパニーと言われるように頑張っていきたい」と、AIのほか、ブロックチェーン、AR/VRといったテクノロジに注力すると述べた。また、テクノロジに加えて人材、海外展開を含めた3領域に積極的投資するとしている。

 同社取締役社長兼COOの小泉文明氏は、メリカリの今後の戦略として、国内メルカリのさらなる成長、メルカリエコシステムの構築、米国事業の成長を挙げた。国内CtoC市場における不用品の推定価値は年間約7.6兆円(中古市場は約2.1兆円、メルカリの流通額は2916億円)あるとされており、ポテンシャルはまだまだ高いという。現在は、20〜30代のユーザーを中心にアパレルが主要取扱品目となっているが、より多くの人が出品できるマーケットプレイスとして、40〜50代の利用を促進し、家電やスマートフォン、スポーツ用品などの取り扱いを強化していきたいとしている。

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今後の戦略
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マーケットポテンシャルはまだまだこれからという

 また、購買データ、ウォレット内の売上、ポイント、ユーザー同士の評価データなど、これまでメルカリ内で使われていたデータを外部に提供し、パートナー企業を含めたエコシステムを構築するという。この中心となるのが、2017年12月に設立したFinTech領域を扱うメルペイであり、メルカリのアカウントに紐づけされた銀行口座やクレジットカード以外に、商品の売買により貯まった売上を、メルカリ内のサービスだけでなく、コンビニや飲食店などさまざまな場所でも利用できるようになるとしている。

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メルペイを中心としてエコシステム

 海外では、2017年6月に同社執行役員CBO(兼Mercari US CEO)に就任したJohn Lagerling氏を始め、元GoogleのScott Levitan氏(同CTO)、PayPal、サムスンに在籍していたMok Oh氏(同CTO)を主体に米国チームを構成している。Lagerling氏は「日本企業がシリコンバレーに負けないためにはチームが一番核となる。ここ1年間は、チームの構築に力を入れてきた」と説明する。

 米国事業では、信頼を表す青を貴重としたロゴへのリブランディングを実施しており、対面で商品を受け渡す米国の競合企業と異なる、日本と同じロジスティクスを使ったフリマサービスを提供する。「米国という多様性のある国で、輸送、ブランディング、技術、学習、UI/UXをシリコンバレーレベルで実行できれば、他の国でも展開できる」と、同氏は米国事業の重要性を語った。

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米国事業のチーム体制

 なお、メルカリをローンチした背景だが、山田氏はもともとゲーム会社「ウノウ」の創業者であり、2010年8月に同社をZyngaに売却している。その後、2012年1月に退職。新興国を中心に世界を旅して帰国後、普及し始めていたスマートフォンを見て、世界中の人がこのパワフルなツールを持つことを確信したという。スマートフォンで個人と個人をつなげることで、今ある資源を大切にしつつ豊かな生活が送れるサービスであること、“空振り”する可能性が高いものの海外でも通用するサービスを手がけたいとの想いから、個人間のマーケットプレイスにたどり着いたとしている。

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