2016年、パプアニューギニアではサイバー犯罪法が成立している。インターネットが浸透しているにも関わらず、サイバー犯罪を取り締まる法の整備が遅れ、犯罪のターゲットともなっている南太平洋諸国にあって、この法律は重要とされる。法はサイバー犯罪条約に倣った条項も含んでおり、国にまたがって犯罪が行われる特徴があるサイバー犯罪の対処・解決に不可欠な、他国との連携も取れるようになっている。
しかし、一方で同法を政府による「検閲」だととらえる人も多い。特に問題視されているのは、第27項「誹謗中傷の掲載」。インターネット上の文書、写真、音声、映像、音声と映像を使った誹謗中傷に対する条項だ。取り締まりの対象となる活動とそうでない活動の明確な線引きが行われておらず、政府を批判するだけで違法と見なされる可能性があるという。
実際、Facebookに第27項に反する書き込みを行ったとして逮捕者も出ている。中には、12歳の小学生女児もいる。警察が、在住の町に放火したグループの肩を持ったとFacebookにコメントしたことが原因で、虚偽の発言、名誉棄損に当たると判断された。警察は同様の罪状で逮捕者が出るごとに、SNSに誤解を招くような情報や中傷を書き込まないように注意をうながしている。と同時に、市民にこうした書き込みを見つけた際には通報するよう奨励している。特に女児逮捕の件について、アムネスティ・インターナショナルは「言論の自由は国際法で認められている」とコメント。暗に政府がとった行動を批判している。
政府についての正しい情報源をFacebookをはじめとするSNSに頼るパプアニューギニアの人々。「検閲」に匹敵するといわれるサイバー犯罪法下では、それもままならない。増してやBasil通信相が口をすべらせたという、「1カ月間Facebookを使用禁止」が実施されれば、その間市民は混乱するだろう。Facebookがないことが、クーデターや政情不安を引き起こすきっかけにもなり得るのだ。
編集:岡徳之(Livit)
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