Qualcomm Technologiesは米国時間5月29日、世界初となる「Extended Reality」(XR)専用プラットフォーム「Snapdragon XR1」を発表した。
XRは「Extended Reality」の略で、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)、またその中間にあるものすべてを表すQualcomm独自の用語だ。XR1で、より便利で快適、かつ低価格のARとVRを実現する狙いがあるようだ。すでにHTC、Vuzix、Meta、Picoの4社と提携し、XR1搭載デバイスを開発中であることも明らかにした。
Qualcommはすでにスタンドアロン型のVRヘッドセットに既存のチップを提供しており、「Oculus Go」「Lenovo Mirage Solo」「HTC Vive Focus」など主要なVRハードウェアで採用されている。Qualcommによると、XR1は3自由度(3DoF)と6自由度(6DoF)のヘッドトラッキングをサポートする。前者はOculus Goのようにユーザーの立ち位置を固定する基本的なVR機能、後者はMirage SoloのようにVR空間を動き回れる機能を提供する。
XR1がモバイルVRのグラフィックスにどれほどの違いをもたらすのかは明らかにされていない。実際には、同社によるとグラフィックスのシャープさや鮮明さという点では「Snapdragon 845」(また「Snapdragon 835」でも)の方がより「高品質」なプロセッサであるという。XR1のメリットとして、レイテンシを軽減しあらゆる動作をスムーズにみせるという、VRにとって最重要とも思われる点が挙げられる。
HTCは自社のVRソフトウェアツールキット「VIVE Wave」に対応するヘッドセットに、このXR1を導入していくとみられる。「Viveport」プレジデントを務めるRikard Steiber氏は、事前に用意した声明で次のように述べた。「QualcommのXR1新チップセットは、一体型ヘッドセット市場とVIVE Waveプラットフォームにとって成長への布石となるだろう」
だが、XR1が重要な意味を持つのはVRではないかもしれない。XR1には、真に優れたARヘッドセットとスマートグラスを実現することが期待されている。
Vuzixの法人営業担当バイスプレジデント、Lance Anderson氏は米CNETに対し、XR1を搭載する2つの新デバイスを開発中であることを認めた。先頃発表されたスマートグラス「Blade」をもとにしたものと、エンタープライズ向けのウェアラブルだという。Anderson氏は開発の進捗状況については明らかにしなかったが、XRを搭載する製品は2018年内には登場しないと述べた。
XR1は音声アシスタント関連や、カメラを介したデバイス内でのコンピュータビジョン技術も提供する。これらを利用して、写真撮影やハンズフリーでの道案内ができるようなスマートグラスなど、音声操作のアイウェア型デバイスが今後数年間にさらに登場する可能性が考えられる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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