マネーフォワードは5月23日、完全子会社「マネーフォワードフィナンシャル(MFフィナンシャル)」を設立したと発表した。
同社では、2018年夏よりブロックチェーン・仮想通貨に関するメディアを開始するほか、2018年内の仮想通貨交換所開設を目指す。子会社の代表取締役社長には、2017年12月に設立した「MFブロックチェーン・仮想通貨ラボ」の中心メンバーであり、元日本銀行金融機構局企画役でマネーフォワード事業開発渉外担当執行役員の神田潤一氏が就任する。
MFフィナンシャルでは、仮想通貨やブロックチェーンに関しての学びの場を提供するほか、仮想通貨を交換する仮想通貨取引所の設立、送金・決済といった仮想通貨を利用するサービスの提供を担う。その後、銀行口座などの取引データを使った資産管理サービス「マネーフォワード」、「MFクラウド確定申告」と連携。認知から通貨取得、送金・決済、資産管理、税務管理までをワンストップで提供する。
今回の仮想通貨に関する一連の連携に合わせて、マネーフォワードでは、国内外約20の交換所とAPI連携し、残高を自動取得。MFフィナンシャルの取引所も含め、一元的に管理できる。また、取引データを外部の損益計算ツールとAPI連携し、出力された計算データをMFクラウド確定申告で読み取ることで、確定申告が可能となる。
マネーフォワードでは、仮想通貨交換業をすでに申請しており、取引所システムもすべてフルスタックで開発しているという。同社では、仮想通貨取引所のほか、証券会社、FXのシステムを運用していたメンバーが集結しており、システム構築のナレッジを持っているという。また、MFブロックチェーン・仮想通貨ラボの活動も、MFフィナンシャルに移行する。
神田氏は、「世界中の人々にフリーでフェアな金融サービスを提供する」をビジョンに、「お金のあり方を変える」をミッションに掲げる。時間や場所、デバイスを問わず使える「場所・時間・手段からの自由」、法定通貨ではない点が叶える「国境やイデオロギーからの自由」「固定された価値からの自由」を実現できるとし、「カレンシー2.0」の時代の訪れを語った。
同氏は「(通貨が)上がった下がったという機能を提供するだけでは、ビジョンを達成できない。安心して使ってもらって便利なサービスだと実感してもらうのが大事」と語る。また、できるだけ多くのユーザーに仮想通貨を使ってもらうため、手数料もできるだけ安く、ユーザーからのアクセス性も高めたいという。ただし、手数料競争に参入するのではなく、ユーザーにしっかりしたバリューを提供し、納得を得た範囲内で下げたいとしている。
セキュリティ面にも配慮する。ウォレット運用は検討中としつつも、できる限りコールドウォレットで管理するという。ただし、すべてコールドウォレットにした場合、送金などにタイムラグが生じてしまうため、影響が出ないレベルでのホットウォレット運用を検討するようだ。また、マルチシグについても業界動向を見つつ最高レベルのセキュリティを実現できるよう随時検討する。
今後は、国内トップクラスのブロックチェーン・仮想通貨の総合プラットフォームを目指すとしているほか、これまで培ってきた銀行とのつながりを生かし、全国の金融機関にブロックチェーン・仮想通貨サービスを提供するようだ。また、3年間で100名規模の仮想通貨人材を採用・育成するほか、海外のコミュニティとの連携など、ブロックチェーンにおけるイノベーションの起点にしたいとした。
また、神田氏は、「私の情熱とマネーフォワードのコミットメントを表現したい」とオペラを熱唱した。
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