ある女子大生に話を聞いたところ、Instagramはアカウントを3つ運用していると言っていた。その1つが親友との共同垢だという。「友だちはカップルで共同垢を作っている。周囲には多い」。
彼女のように、「親友との共同垢」を作っている子も少なくない。2人で遊んだ記録や、仲の良さの証のようになっているという。好きなものを投稿する共同メディアのように使っている場合もあるそうだ。
なぜ、カップル垢にするのかと聞くと、「個人のアカウントだと投稿しづらいから」という。「勉強垢」と同様、カップル垢もそもそもカップルの写真を投稿することを宣言したアカウントであり、ツーショット写真なども気兼ねなく投稿できるというわけだ。このあたりにも、今時の子たちの“気遣い”が見えるのではないか。
カップル垢や共同垢にはいろいろなメリットがある。Instagramでは2人で一緒に行った場所が分かるし、過去の出来事が一覧できるのが良いようだ。また、相手が投稿したことによって自分への気持ちが分かったり、相手の新たな発見をしたりでき、写真付きの交換日記のように楽しめるという。
友だち同士の共同垢の場合はアーカイブ的に利用するが、カップル垢の場合は浮気防止も兼ねているようだ。「付き合ったらSNSに投稿してくれないと本気じゃない気がする」。本命で大切にされている証としてカップル垢運用を求める例もあるようだ。「いつか別れるかもしれないけど、今を楽しまないのはありえない」という感覚なのだという。
カップル垢には承認欲求が見え隠れする。たとえば、本来はカップル垢同士つながって気兼ねなく交流するのが目的だったはずが、通常のアカウントを一方的にフォローしてきて、フォローバックしないとブロックされる例が多いという。
アカウントを共同で運用することで問題も起きている。別れ方が良くない場合、カップル垢のパスワードを変えられてなりすましで不本意なことを投稿されてしまう例もある。別れた後も残る写真やアカウントで現在の恋人とトラブルになることもあるという。
共同垢、カップル垢の運用は楽しそうだ。ただし、前述のようにトラブルにつながる例もあるので気をつけて使ってほしい。周囲の子たちがそのような使い方をしていたら、周囲の大人はうまく使えるようアドバイスしてあげてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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