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シャープ、成長の軸「海外事業」を着々と拡大--フィリピンで売上前年比20%増狙う

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中期経営計画完遂の切り札は海外事業の成長

 海外事業の拡大を成長の軸に据えるシャープが、重点地域の1つとするフィリピンにおいて、5月17日、8K、4K液晶テレビやエアコンを発表した。

フィリピンの会見場でASEANでの8K事業拡大に意欲を見せるシャープ関係者
フィリピンの会見場でASEANでの8K事業拡大に意欲を見せるシャープ関係者

 先ごろ発表した2017年度連結業績では、売上高が前年比18.4%増の2兆4272億円、営業利益が44.3%増の901億円、経常利益が256.3%増の893億円、当期純利益が前年の248億円の赤字から、702億円の黒字に転換。4年ぶりの通期最終黒字となったほか、10年ぶりに、年間を通じて全四半期で最終黒字を達成。2011年度以来、6年ぶりの配当を実施するなど、堅調な回復ぶりを示している。

 その一方でシャープは、中期経営計画において、2019年度に売上高3兆2500億円、営業利益1500億円とさらなる成長を目指しており、シャープ代表取締役社長の戴正呉氏は、「中期経営計画の完遂」を、経営目標の一丁目一番地に掲げている。もし、この目標を達成すれば、電機大手8社中8位だったシャープの売上高が、構造改革に取り組んでいる最中の同7位のNECを抜き去ることになる。

 シャープが中期経営計画の完遂に向けた切り札に位置づけているのが、海外事業の成長である。

 シャープの代表取締役副社長の野村勝明氏は、「日本の市場はもはや伸びしろが少ない。海外をどう伸ばしていくのかが重要であり、ここに成長の軸足を置いていくことになる」と発言。「シャープの海外売上高比率は、2016年度には7割弱。これを、2018年度には7割強へと拡大。2019年度には8割にまで持っていく」とする。

 海外事業の積極的な事業拡大が成長を下支えすることになる。そして、海外事業の成長において重点地域となっているのがASEANであり、その中核の1つを担うフィリピンはシャープにとって重要な市場に位置づけられている。

 戴氏は、「市場のポテンシャルや当社のリソースを勘案すると、海外市場の中でも、ASEAN市場が最も力を発揮できる市場である。ASEANを社長直轄指揮により、拡大戦略を推進し、『守りから攻めへ』へとシフトする。早期にASEAN No.1ブランドを実現したい」と語る。

 今回のフィリピンでの新製品発表は、ASEAN市場向けの戦略的製品を先行して発表したものであり、ASEANでの事業拡大に向けた「狼煙(のろし)」といえるものだろう。

 5月17日に、フィリピン タギック市の「シャングリ・ラ ホテル マニラ」で、約70人の報道関係者を招いて行われた会見で、シャープのTVシステム事業本部 アジア事業推進センター統轄部長の川田敏夫氏は、「2018年末から順次発売予定のアジア向け8Kテレビの立ち上げと、8Kディスプレイ市場を牽引していくことを、最初にフィリピンで発表できた」と発言。シャープの常務執行役員である橋本仁宏氏は、「2018年度は、フィリピン市場に8KとAIoT関連製品を多数展開していくことになる」とコメントした。

 今回の会見では、AQUOS 8Kおよび4K液晶テレビ、エアコンの新製品を発売することを発表。さらに、フィリピン国産製品キャンペーンを開催することも明らかにした。

 AQUOS 8Kでは、これまでに、中国、日本、台湾、欧州で展開してきた経緯があるが、今回の会見では、2018年末からのアジア市場にも展開することを正式に発表。「8K技術はテレビ番組などの映像を映す以外にも、医療、ビジネス、セキュリティ、教育、交通などさまざまな分野に応用していくことになる」(川田氏)と述べた。

 また、4K液晶テレビについては、シャープの現地法人であるシャープフィリピン(SPC)社長の紀藤一雄氏が、「4Kスマートテレビを中心に新製品ラインアップを展開し、消費者に新しい喜びの体験を届け、2018年度にテレビ事業の売上げで前年比40%増を目指す」とした。

会見で事業戦略を説明するSharp Philippines Corporation(SPC)社長の紀藤一雄氏
会見で事業戦略を説明するSharp Philippines Corporation(SPC)社長の紀藤一雄氏

 さらに、エアコンでは、IoTに対応したプレミアムインバーターエアコンを発表。「スマートフォンの操作によって、気流制御、省エネ、スマート操作などを実現。消費者に新たな空調体験を届けることができる。また、プラズマクラスター技術搭載により、浮遊カビ菌の除菌や浮遊ウイルスの作用を抑え、空気の汚れを浄化することも可能だ」(紀藤氏)などとした。

フィリピン国産製品にテコ入れ、前年比20%増目指す

 

 一方で、これらの製品投入に加えて、SPCがフィリピンで生産する「国産」製品を対象にしたキャンペーンを展開する。同キャンペーンは、6月12日にフィリピンが独立120周年を迎えるのにあわせてスタート。SPCで生産した製品の購入者を対象に実施するものになる。詳細は今後発表する予定だ。

 SPCでは、液晶テレビや洗濯機、カラオケ、扇風機をフィリピン国内工場で生産。1982年の稼働以来、テレビは390万台、洗濯機は820万台、カラオケは210万台の累計生産実績を持つ。

 「フィリピン人の94%以上は、地元のブランドをサポートすることでフィリピン経済が改善すると考えている。シャープは、フィリピンの消費者ニーズに合ったローカルフィット商品を提供することで、国産製品の販売を2倍にしたいと考えている。新たに、フィリピンで国産製品を対象にしたキャンペーンを実施することにより、2018年度は、フィリピン市場全体で前年比20%増の売上げ拡大を目指すほか、フィリピン全体の経済活性化と消費者への還元を図る」とした。

 シャープはフィリピン市場において、2017年度実績で前年比25%以上の売上げ拡大を図っており、とくにフィリピンで生産した国産製品は、前年比30%以上の売上げ成長を達成している。フィリピンにおける国産製品および8K、4Kテレビ、エアコンといった戦略的製品の販売拡大によって、2018年度は、フィリピンにおける売上げを拡大。ASEAN市場全体の成長において、起爆剤に位置づける考えだ。

 なお、SPCでは、会見終了後に、ディーラー大会を開催し、現地ディーラーとの関係強化を図った。

 フィリピンでの成長が、ASEANでの事業拡大、そして、海外成長へとつながり、シャープの中期経営計画の達成にも影響を及ぼすことになる。

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