一般社団法人at Will Workは、都内にて「『副業解禁』で何が変わる? at Will Work『第1回働き方有識者懇談会』」 と題したトークセッションを、5月15日に開催した。
at Will Workは、働き方を選択できる社会づくりの実現を目指すことを目的として設立。このトークセッションは、人と企業と働き方の今と未来を考えるとともに、働き方改革の今後の展望と実践例を共有する機会として設けられたもの。
今回は、経済産業省 産業人材政策室 室長補佐 弁護士の白石紘一氏、副業を導入しているソフトバンク人事本部 人事企画部 労務厚生企画課 課長の石田恵一氏、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事の平田麻莉氏が登壇。副業解禁について、行政から見た動向や、実際に実践しているソフトバンクの経験談などが語られた。
冒頭では白石氏が、社会を取り巻く環境として3つのポイントを挙げた。まずは人口減少の問題。さまざまなところでもうたわれているように、生産年齢人口は右肩下がりの状態にあり、女性や高齢者の活躍といった「量」と、生産性や人材育成といった「質」の向上が急務となっている。
次に挙げたのは、テクノロジの進化による第4次産業革命。IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの活用によって、例えば自動運転などをはじめとするような、これまで実現不可能と思われていた社会が実現するとともに、産業構造や就業構造が劇的に変化する可能性があるという。
最後は人生100年時代というような長寿命化。これにより人生における3つのステージとなる「教育」「仕事」「引退」のモデルは大きく変質し、職業寿命の大幅な長期化が起こると指摘する。
旧来の日本型雇用システムは長時間労働や終身雇用、他律的(企業主導型)キャリアが特徴的で、働き手は“滅私奉公”“忠誠”を提供し、企業からは終身的な雇用ならびに生活を保障する関係になっていたと説明。新卒一括採用も相まって途中の出入りも少なく、一社専属的の“就社”と呼べるような、選択肢の乏しい関係だったと指摘する。
これらを踏まえて、社会変化に旧来の日本型雇用システムは限界があるという。特に「企業が今まで保障できていたものができなくなる。働き手も長時間働くと言えていたが、そうではなくなっている。お互いに同じものが提供できなくなっている」とし、企業と働き手が、相互に何を与え、何を得られるのかを再定義かつ明確化する必要性があると指摘した。
これまで働き方改革といえば長時間労働の是正がトピックスとして着目されていることに触れつつ「それで終わりではなく第1章」とし、今後はどのようなキャリアを築くかを自分で考える「自律」、多様な働き方やキャリアを社会や企業として許容していく「多様性」、各自のキャリアの構築や多様性を保つために必要な「選択肢」の3つが、第2章というべき、働き方改革として次に考えていくべきポイントだとした。
さらに白石氏は「働き手はどこで働くかを自分で選ぶ。企業はそのような働き手をいかに引き付けるか、企業の理念や方向性への共鳴を図っていくか。そして個人と企業がともに高めあっていく関係をどう作っていくかが、今後の働き方改革のひとつのテーマであり、兼業や副業はそのなかに位置づけられる」とした。
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