ソフトバンク人事企画部 労務厚生企画課課長の石田恵一氏は「ソフトバンク流 働き方改革と副業兼業の取り組みについて」と題したセッションを実施。同社ではスローガンとして「Smart & Fun!」を掲げており、ITやAIを駆使して、全社員がスマートに楽しく働くことを目指しているという。取り組みにはスーパーフレックスタイム制や在宅勤務、IT活用の促進、マネジメント意識改革、自己投資のための支援金支給などがあり、副業兼業の緩和も盛り込まれている。
副業兼業については、これまで「原則禁止」としていたルールを、2017年11月から「許可制」という形で緩和。その狙いについては、企業的な視点では副業の経験を還元してほしいこと、従業員の視点では「ある意味武者修行」というような表現で、多様な経験で自己の成長につなげることがあるという。
許可の基準としては「本業に影響を与えないこと」と「本人のスキルアップや成長につながること」の2つ。また他社と雇用契約を締結する形のものは認めていないという。制度変更後の副業については、3月31日の時点で214件を承認。副業内容はプログラミングやウェブサイトの作成、知人の企業支援、書籍執筆、研修講師など、専門スキルをいかした活動が多いという。
後のトークセッションにおいて、平田氏が副業を検討される企業が気になることとして、情報漏えいや引き抜きによる退職といったことのリスク管理について質問すると、石田氏は「考え方として性善説に立っているところはある。ただ、会社として対策は持っていて、会社に損害を与えた場合は、その損害に対しての賠償責任を負うといったルールに同意してもらっている」と回答。さらに「副業以前に、情報管理は会社としてしっかりやらないといけないこと。副業の有無に関わらず、セキュリティに関するリスクマネジメントを徹底することが大事で、いまのところは大きな問題にはなっていない」と付け加えた。
このほか、副業の緩和による退職者の増加はあるかという質問については、退職率は上がっていないとして「働きながら(副業として)できるから、辞めなくていいと思った」という、ポジティブな声が上がっているとした。
平田氏からは説明の冒頭、副業することの動機として、かつては“お小遣い稼ぎ”“稼げる”みたいな取り上げ方やイメージがあったとしたが、現状ではスキルアップや自己実現など、報酬に関係のない動機を持つ方も増えているという。
企業が副業を推進することの意義としては、優秀な人材の採用とリテンション、人材育成やオープンイノベーションの促進といったもののほか、主にシニア層を対象とした前向きなアウトプレースメント(再就職支援)も挙げた。役職定年制の導入とあわせて副業を解禁し、前向きにセカンドキャリアの模索を推奨するといった動きも増えていくことが考えられるとした。
フリーランス協会として1月に発表した「フリーランス白書2018」における調査結果について説明。この白書では、フリーランスだけではなく会社員1000人に対してのアンケート調査も行っており、会社員に対して「今の働き方をより良くするために考えていることは?」という質問では、「副業」が41.8%で、「転職」の31.8%より多かったという。その一方で、「副業/パラレルキャリア/フリーランス/起業の障壁は?」という質問では、「安定性」「漠然とした不安感」「収入」の回答が多かったという。
このほか、働き方の満足度についてはおおむねフリーランスのほうが満足度が高い結果となったほか、「現在の働き方を続ける/成功させるうえで重要だと思うものは?」の質問に、フリーランスは全体的にさまざまな能力や資質を、会社員は「忍耐力」を重要視していることなどを説明した。
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