無料サイバー攻撃保護ツール「Project Shield」、選挙活動などにも提供へ

Alfred Ng (CNET News) 翻訳校正: 編集部2018年05月17日 08時15分

 5月上旬、米テネシー州ノックス郡で選挙の結果を伝えるウェブサイトがハッカーらに攻撃され、ちょうど投票が締め切られた頃にダウンした。

 状況から、DDoS攻撃が仕掛けられたのは間違いなかった。

 Googleの親会社Alphabetの傘下企業であるJigsawは米国時間5月16日、同社の無料DDoS保護ツール「Project Shield」を、米国の政治活動、候補者、政治実行委員会に提供すると発表した。このツールは、大量に送信されたトラフィックをフィルタリングすることによって、フラッド攻撃からウェブサイトを保護するもの。当初、ジャーナリストや人権活動家だけを対象に提供されていたが、3月には、選挙監視機関や人権活動団体に提供範囲が拡大されていた。

提供:John Nordell / Getty Images
選挙はサイバー攻撃の標的になることが多い。Jigsawは政治活動に関するウェブサイトを保護しようとしている。
提供:John Nordell / Getty Images

 Jigsawは、これまでにメキシコ、フランス、韓国、オランダで選挙監視用のウェブサイトがハッカーらの攻撃を受けてダウンしたのを確認しており、今後のDDoS攻撃を防ぎたいと考えている。Project Shieldの製品マネージャーであるGeorge Conard氏によると、政党、選挙活動、政治組織が選挙期間中にサイバー攻撃の標的になるケースが増加しているという。Project Shieldは、大規模な政治組織だけに提供されるのではなく、地方選挙を保護するためにも利用できるという。

 「教育委員会や市議会などの地方選挙の候補者は、米国中で数万人にものぼる」とConard氏は述べ、「それらの候補者は、この脅威を認識していなかったり、自らを防御するリソースを持っていない可能性がある。財源がある人だけでなく、すべての人を確実に保護したいとわれわれは考えている」とした。

 Project Shieldは現在、約700のウェブサイトをDDoS攻撃から保護していると、Conard氏は述べた。2016年には、セキュリティジャーナリストであるBrian Krebs氏のウェブサイトを、「Mirai」ボットネットによる攻撃から保護した。この攻撃によって、60万を超えるIoTデバイスが乗っ取られ、最大620Gbpsものデータが同氏のページに大量送信された。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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