LIFULLは5月15日、2018年9月期第2四半期の決算を発表した。増収増益となった今期の動きのほか、5月に発表したスペインのアグリゲーションサイト「Mitula Group Limited」(Mitula)の子会社化について話した。
第2四半期(2017年10月~2018年3月)の売上高は前年比9.3%増の176億円、EBITDAは28%増の30億円。HOME'S関連、海外、その他と全セグメントで収益を拡大した。
海外事業では、Mitulaの子会社化によって、不動産アグリゲーションサイトのトップ3を傘下に収めた形になった。業界上位のnestoriaは2012年にMitulaグループ傘下に入っており、スペインのTrovitは2014年にLIFULLグループ入りを果たしている。「この分野に4位以下はない。不動産アグリゲーションサイトの主要プレーヤーはLIFULLファミリーになる」(LIFULL代表取締役社長の井上高志氏)とした。
これにより、展開国は63カ国に拡大。TrovitとMitulaを合算すると、月間UVは1億7000万人を超える規模になり、掲載情報量は4億件以上。不動産領域で圧倒的No.1になるとしている。
今後は、TrovitとMitulaで重複するサービスエリアの整理を進めるほか、業務効率化やコストカットを図り、コスト削減効果と収益拡大の両面で成長していく方針だ。
「Mitulaは営業力があり、Trovitはテクノロジに強みがある会社。それぞれの強みをいかして、営業体制を最適化し、システムを共通化することによって、コストを削減していきたい」(井上氏)と今後の方向性を示した。
今回の連結により、海外事業の売上収益構成比は2017年の売上収益を単純合算した場合、10.5%から17.4%に構成比率を6.9%増加させることになるという。
井上氏は今後の海外事業について「収益の中心は、欧州、北米、中南米。中国に関しては、言語の問題とカントリーリスクの関連から収益化は簡単にはいかない」とした。
LIFULLでは、TrovitとMitulaにリソースを集中するため、オーストラリアの「LIFULL AU Real Estate」とドイツの「LIFULL Immofinder」の撤退を発表。国内のHOME'S関連事業については「顧客拡大のため、中小の地方都市の網羅度を上げていく。掲載情報量は700万件を維持し、価格情報を可視化する『PRICE MAP』も5月に全国対応を予定している」とデータベース、ネットワーク、メディアと創業以来磨き上げている部分に引き続き注力する。
一方で不採算事業である「LIFULL HOME'Sリフォーム」「LIFULL Remodel」サービスは終了を予定。「リフォームサイトからの撤退は判断に迷ったが、なかなか成長軌道に乗せられず赤字が続いた。このまま継続するのではなく一旦精算する。ただ、リフォーム領域におけるサービスの投入は諦めていない。ゼロベースでやり方を考えたい」(井上氏)とした。
新たな取り組みとしては、物件内見、相談、重要事項説明などをオンラインで完結させる「LIFULL HOME'S LIVE」が月間2000件規模まで実施件数が増加していることや、中古市場活性化などについて説明。「空き家バンク」のスタートをはじめ、空き家活用を推進する起業家などを育成し、人材を地方へ送り込むなど、空き家の情報網羅から新たな用途開発まで、ソリューションを提供することで空き家問題の解消に乗り出している。
2018年9月期の業績予想は売上収益が410億円、EBITDAが60億円。2020年9月期に、売上収益500億円台、EBITDA率20%を目指す。
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