ソニーは4月27日、2018年3月期通期の連結業績を発表した。売上高は前年度比12.4%増の8兆5440億円、営業利益は2.5倍の7349億円の大幅な増収増益となった。税引き前利益は2.7倍の6990億円、当期純利益は6.6倍の4908億円。
増収と為替の好影響により、大幅な増収増益に結びついた。加えて、カメラモジュール事業の製造子会社の持ち分全部と子会社が所有していた不動産の譲渡益、熊本地震にかかわる保険金の受け取り、半導体分野における製造設備の売却などの特殊要因が含まれているという。
セグメント別では、モバイル・コミュニケーションとその他以外のすべてが増収増益を記録。売上高が同17.8%増の1兆9438億円、営業利益が419億円増の1775億円となったゲーム&ネットワークサービス分野は、「PS4」ソフトウェアの増収と、「プレイステーション プラス」の加入者数の増加が、大幅な増収増益に大きく寄与。同じく売上高で同17.7%増の1兆2227億円、営業利益が273億円増益の858億円となったホームエンタテインメント&サウンド分野は、テレビにおける4Kや有機ELといった高付加価値モデルへのシフトが奏功したという。
音楽分野では、モバイル機器向けゲームアプリ「Fate/Grand Order」が引き続き好調に推移し、売上高が同23.5%増の8000億円、営業利益が520億円増益の1278億円となった。代表執行役EVP CFOの十時裕樹氏は「ゲームアプリにおけるアニメIPの活用は引き続き取り組むべきものと考えている。一過性のものではなく、持続させるべく力を入れいきたい」とコメントした。
一方、落ち込みを見せたモバイル・コミュニケーション分野は、売上高が同4.7%減の7237億円、営業損失が276億円の赤字となった。スマートフォンの販売台数減少が響いており、2019年3月期の販売台数見通しも、前年度の1350万台から1000万台へと引き下げる。
十時氏は「5Gは、将来的にスマートフォンのみならずさまざまな機器に入ってくるであろう重要な技術。その技術に内部で取り組んでいくのは、ソニーにとって大きな果実をもたらす可能性がある。これは経営陣全員の総意でもある。厳しい環境が続くが頑張って続ける」と売却せずに取り組む意思を示した。
2019年3月期の連結業績見通しは、売上高が同2.9%減の8兆3300億円、営業利益が同8.8%減の6700億円、税引前利益が同5.1%増の7350億円、当期純利益が同2.2%減の4800億円と、減収減益と予測。十時氏は「2018年3月期は特殊要因があったが、これをなくし調整後ベースで見るとほぼ前年並みの営業利益になる。いずれにしても最高益となった業績を単年で終わらせるのではなく、持続的に高い水準の利益を維持できることをテーマに取り組んでいきたい」とコメントした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」