宝飾店Helzberg Diamondsが展開する200の店舗のうちの1つで、2018年中に婚約指輪やイヤリングをチェックする予定があるという人は、スマートフォンでその宝石の正確な原産地を確認できるようになるかもしれない。
IBMとHelzberg、および採掘や精製を手がける企業各社は、新たな企業連合「TrustChain」を結成し、宝石や貴金属が原産地からショッピングモールに届くまでの記録を追跡できるようにする。そのベースになるのが、ブロックチェーン技術だ。
IBMでブロックチェーンサービス担当ゼネラルマネージャーを務めるJason Kelley氏によると、今回のケースでは、店舗に置かれる最終製品の宝石について、多くの企業がその全来歴をさかのぼって追跡できる方法につながるという。これにより来店客は、対象の商品が持つとされる来歴や価値に間違いがないことを確認できる。また、来店客や警察は、対象のネックレスが汚職やテロリストの資金調達、奴隷などの人権侵害といった宝石取引の悪質な側面と関係していないことをある程度信用することもできる。
TrustChainには、貴金属の精製と供給を手がけるAsahi RefiningとLeachGarner、宝飾品加工のRichline Group、製品を販売するHelzberg Diamondsも参加する。ブロックチェーンネットワークは加盟するメンバーが多いほど有益性を増すので、参加企業を増やす予定だとKelley氏は述べている。
TrustChainは予備段階を卒業したが、実際に機能させるのは簡単ではない。Kelley氏によると、Richlineでは、会計、IT、ビジネスオペレーションから100人以上が関わっているという。
「技術はとても簡単だ。難しいのは、企業とビジネスプロセス、さまざまな参加者や個人をまとめて、1つのコンソーシアムとして動かすことだ」(Kelley氏)
多くのブロックチェーン作業ではデジタル資産が使われる。この資産とは、ブロックチェーン上で直接記録できるデータのことだ。ダイヤモンド、医薬品、高級服飾製品、宝石などの有形資産の場合はさらに扱いが難しい。本物をかすめ取ってブロックチェーン上で本物に見せかけた偽物にすり替えることなどが誰にもできないようにする手順が必要だ。
認証の方法は積極的に改良されている分野で、たとえば製品の「特定の場所に分子レベルの透かし」を入れるとKelley氏は述べている。IBMは、この検証技術に取り組んでいる。
「ブロックチェーンで、有形資産の元の記録が解決されるわけではない。われわれは、分子レベルで撮影することで、対象物が実際にわれわれの思っている通りのものであることを検証する。その後、この対象物はブロックチェーンに追加される」(Kelley氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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