ソフトバンクは4月26日、IoT機器向けのLTE規格である「NB-IoT」と「Cat. M1」のネットワークの構築を4月に完了し、商用サービスを開始したと発表した。なお、NB-IoTの商用サービスを開始するのは、国内で初という。
また、NB-IoTとCat. M1は、さまざまなIoTデバイスに幅広く対応するため、低消費電力を実現する技術であるeDRXとPSMを導入済み。
NB-IoTは、低価格化・省電力化に特化し、LTEと共存可能な規格。NBは、Narrow Bandの略でその名の通り最大通信速度は下り27kbps/上り63kbpsと遅い。データ容量が少ない、スマートメーターやスマートパーキングなどでの利用に適している。
もう一方のCat. M1は、LTEの一部の周波数帯域のみを利用して、通信モジュールの低価格化・省電力化を実現した規格。通話もできるため、緊急通話ができるエレベーターや業務車両などの管理に使われるフリートマネージメントに適している。Cat. M1の最大通信速度は、下り0.8Mbps/上り1Mbps。
同社では、商用ネットワーク構築完了に合わせて、新たに専用の「IoT料金プラン」を導入。IoTプラットフォームと併用することで、契約回線数にかかわらず1回線当たり10KBまで月額10円(税抜き)の低価格プランなど、月々のデータ通信量に合わせて選べる4種類のプランを提供する。
ソフトバンクは、各種センサーデバイスなどからのデータを収集して、さまざまな価値につなげる法人向けサービス「IoTプラットフォーム」を提供している。デバイスやネットワーク、データストレージ、アプリケーションなど、IoT環境の構築に必要な要素をワンストップで提供するというもの。最安値は、IoTプラットフォームと併用する場合に適用される。
ソフトバンク IoT事業推進本部 本部長の丹波廣寅氏は、対抗サービスを提供するKDDIとの料金比較について、「他社もIoTのネットワークサービス(KDDI IoTコネクト LPWA:LTE-M)があるが、最安値は500万1回線〜(LPWA10/40円)という料金プラン。それに対してソフトバンクは1回線から10円。今のところ業界最安値ではないか」と説明した。
「私たちが考えるIoTは、今までのIoTと大きく異なる。単純なIoTではなく、未来を予測した制御のIoTを目指している。たとえば部屋の温度管理を考えたとき、温度センサをつけておき、暑くなってきたからエアコンの温度を下げるのではなく、ほかの情報を使ってサービスをつくり出したい。具体的には、入館ゲートを通過したときにこの部屋に多くの来客が来ることがわかる。部屋まで来ていただいた後に、暑くなってきて不快だから温度を下げるという直接的な動きではなく、人間の流れを予め把握して予測し制御するといったもの。こうしたIoTを実現するには、多くのデータを集めて分析する必要がある。その分析した結果を新しいサービスに変えるのが目指すIoT」(丹波氏)
同社では今後、村田製作所やGemalto N.V.、Sierra Wireless、Quectel Wireless Solutionsと、NB-IoTやCat. M1に準拠したIoT機器向けの通信モジュールを順次提供する予定だという。
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