シンガポールの南洋理工大学(NTU)の科学者チームが、IKEAの椅子を組み立てることのできるロボットを開発した。同大学が現地時間4月19日に発表した。このロボットは、「STEFAN」という25ドルの椅子1脚を約20分で完成させることができたという。
ロボットはその椅子を組み立てるのに人間よりも長い時間を必要とするが(IKEAの広報担当者によると、人間は1つの椅子を約10分で完成させることができる)、それでもこれはロボット工学の分野における新たな進歩だ。商業施設「Washington Harbor」のパトロールを担っていたロボットが公共の噴水に転落した事件や、壇上でのデモの最中にロボットがよろめいて映写機の上に倒れた事件が発生したことを考えると、特にそうだ。
開発に3年を要したNTUのロボットは、2本のアームと3Dカメラで構成されている。与えられた家具の部品を3Dカメラで読み取った後、計画を立てて実行し、NTUのチームが開発したアルゴリズムを使って家具を組み立てる。
ロボットが複数の物体をつかんで、それらを押し合わせるときに過剰な力が加えられないように、アームには力センサが搭載されている。このロボットは、組み立てプロセスの実行よりも計画に長い時間を費やす。
このロボットは、ユーザーの指示だけに基づいてユーザーの望むものを構築するスマートさをまだ備えていないが、こうした状況は今後10年以内に変わるかもしれない。NTUのチームは、さらなる人工知能(AI)を統合することを検討している。これにより、ユーザーが指示を与えたり、完成品の画像を見せたりするだけで、家具を組み立てることのできるロボットが実現するかもしれない。
チームの1人であるQuang-Cuong Pham氏はReutersに対し、「われわれは、ロボットに『組み立て方』を教える低レベルの機能を既に実現した。これから5年~10年のうちに、高レベルの論理的思考、つまり『何をすべきか』を判断することも可能になるかもしれない」と語った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス