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海賊版サイトへのブロッキングに業界団体から反対声明--国民の権利侵害の恐れ - (page 2)

西中悠基 (編集部)2018年04月12日 13時42分
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 インターネットユーザー協会(MIAU)は4月11日、「政府による海賊版サイトへのブロッキング要請に反対する緊急声明」を発表した。MIAUは、プロバイダに遮断させるブロッキングは、全ての通信を監視し特定サイトへのアクセスを選別する手法以外では実現されず、通信の秘密を侵害する行為のため、電気通信事業法とも齟齬をきたすとした。また、児童ポルノと異なり、著作物の違法アップロードサイトが毀損する権利は財産権で、ただちに生命や身体に関わらない財産権保護のために、緊急避難を違法性阻却事由としてブロッキングするのは不適当だと指摘されていると述べた。MIAUは、ブロッキングは言論の自由にも大きな影響を与えると非難したほか、ブロッキング迂回によるサイバー犯罪に未成年者が巻き込まれる可能性を懸念。さらに、ブロッキングを行ったとしても、大元の海賊版サイトが消えるわけでも著作権者の財産権が回復されるわけでもないと指摘した。MIAUは、「クリエイターへの適切な対価の還元やコンテンツへの多様なユーザーニーズにあわせたサービスを積極的に開発していくことが、最終的な撲滅へとつながる」とした。

 情報法制研究所(JILIS)の情報通信法制研究タスクフォースは、11日に緊急提言を発表した。提言においてJILISは、サイトブロッキングは通信の秘密の「知得」「窃用」の構成要件に該当し、典型的な通信の秘密の侵害にあたるとした。JILISによると、マルウェア感染サイトへのアクセス遮断や児童ポルノサイトのサイトブロッキングでは、慎重な考慮や判断のもと実施されてきたという。一方で、今回の事例では警察による摘発や被害者による法的措置の努力が十分かどうか不明であり、著作権という財産権が当然に利用者一般の通信の秘密に優位するのか疑問だと指摘した。国民代表である議員による審議がなされず、議事録の一部も公開されないなど、公開性に欠ける点も問題視。十分な検討期間がありながら緊急避難に頼ることは、「法治国家原理からの逸脱」であるとした。また、プロバイダに対するコストや訴訟などの負担など、通信インフラを支える事業者に悪影響が出る恐れも指摘した。

 JILISは、著作権保護の重要性を否定するものではないとしながらも、今回の要請には重大な法的問題点があり、政府においてはブロッキングという措置自体の是非も含め、冷静な議論を、と呼びかけた。また、本件要請が容認されれば、今後、様々な違法サイトに対するブロッキング要請を否定することが困難になり、ますます通信の秘密・自由や検閲からの自由、法治国家原理が危機にさらされる恐れがあると指摘した。

 コンテンツ文化研究会は、4月9日付で「電気通信事業法の解釈、緊急避難によるブロッキング」に関して反対とする声明を発表。同会は声明において、「ブロッキングは重大な権利侵害を伴う」とし、著作権法違反が緊急避難を認められた児童ポルノに匹敵する「明白かつ現在の危険」には該当しえないとした。また、海賊版サイト問題はインターネット時代の初期から存在しており、従来これに関する論点整理や法整備が活発に行われてきたとはいえず、「業界としての怠りを「国民全体の権利の侵害」という形で埋め合わせることは大いに問題がある」と表明。海賊版サイトに対しては、現行法の拡大解釈に頼るのではなく、新規立法や法改正などで対応すべきであると述べた。

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