富士通、医療教育機関に向けに「京」の心臓シミュレータデータを用いた学習ソフト

 富士通は4月11日、大学医学部などの医療・看護系の教育機関に向け、心臓の挙動を精緻に再現する心臓シミュレータを活用して得られた心臓データを3Dモデルで観察・分析できるソフトウェア「FUJITSU ヘルスケアソリューション Heart Explorer」の販売を開始した。

心筋にかかる圧力などの物理的な値をグラフで可視化
心筋にかかる圧力などの物理的な値をグラフで可視化

 同社によると、現在、心臓病は世界の先進各国における死因の上位(日本2位、米国1位)を占めており、さまざまな治療法、治療機器が日々研究開発されているという。また、治療法の確立だけでなく、医療・看護系の学生への心臓についての教育にも注力されている。

 心臓は、体の中でも複雑な構造を持ち、心筋の複雑な動きや血流の動きを文献などで学ぶのは難しいとされ、従来は教科書、クリエーターにより作成されたCG、3Dプリンタなどから造形された模型、解剖実習などで心臓の構造と基本的な機能を学習していたことから、拍動する心臓を学習できる教材が必要とされていた。

 そこで同社は、このような課題を解決するため、国立大学法人東京大学様との心臓シミュレータの共同研究の成果から得られた技術を取り入れ、Heart Explorerを開発した。

 Heart Explorerは、スーパーコンピュータ「京」などを活用して研究開発を行ってきた心臓シミュレータの出力データを利用し、心臓の拍動を精緻に再現。従来表現することが非常に困難とされていた心筋の動き、血流、興奮伝播、心電図などの心臓の挙動を観察・分析できるソフトウェア。


 心筋にかかる圧力などの物理的な値をグラフで表示して可視化する構造解析機能や、学習者自らが3Dモデルの視点や断面を自由に設定できるなど、体験しながら学習できるソフトウェア教材となっているという。

 また教材には、健康な心臓だけでなく、心筋梗塞などの症例ごとのコンテンツも用意。心疾患についても学習できる。

 同社によると、3次元立体視ディスプレイなど「zSpace 200」(別売)を用いたVirtual Reality技術で、目視することが困難な心臓の立体構造や内部構造、心拍動などを360度立体的に観察し理解が進むようにデザインされているという。

 同社では、同ソフトウェアにより、心臓および、心疾患の効率的な学習を可能にするなど、医療技術・知識の向上に貢献するとしている。


CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]