4月4日、東京のニコファーレにおいて、学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校(N高)のVR入学式が開催された。
N高等学校は、カドカワが2016年に開校した「ネットの高校」を掲げる通信制高等学校。「IT×グローバル社会を生き抜く"想像力"を身につけ、世界で活躍する人材を育成する」という理念のもと、ネット社会に対応した教育を行っている。2016年の開校時には参加者全員がVRゴーグルを着用したVR入学式、2017年にはMRヘッドセット「HoloLens」を使用した HoloLens入学式を開き、注目を集めた。
第3期生徒となる2018年度の新入生は2752人。ニコファーレで開かれた"リアル"入学式には生徒約80人が参列したほか、ニコファーレと沖縄の伊計本校からの映像を360度VRカメラを使用して生中継。ニコファーレに参列しない新入生も、全国の各通学コースキャンパスや新入生の自宅から、あらかじめ配布されたVRゴーグルを使用することで、入学式に参加した。
また、沖縄本校の奥平校長による式辞や、うるま市副市長らの来賓祝辞、特別来賓である羽生善治竜王のVTRによる祝辞の際には、透過型有機ELディスプレイを使用し、参列者全員がその場にいるかのように演出した。
校長として式辞を述べた奥平氏は新入生に対し、「誰にでも自分の居場所は必ずある。自分の幅を自分で決めるのではなく、まずやってみるのが大切。昨日の自分と違う今日の自分を感じる、そんな毎日を送ってほしい」とエールを送った。
理事長の佐藤氏は、小説の新人賞で落選しながらもベストセラー作家となった時雨沢恵一氏の例を挙げ、「みなさんはこれから発掘される原石。みなさんの夢をN高校で叶えてほしい」と語った。
N高等学校評議員を務める夏野氏は、時代に合致したカリキュラムを展開するN高等学校で学ぶことは大きな武器になると述べ、「学校は社会に飛び出すための踏み台。自分たちの長い人生に飛び出す、大きな勢いにしてほしい」と、新入生への祝辞を述べた。
特別来賓である羽生竜王は、「入学時や進級時など、それぞれの節目の際の想い・気持ち・情熱を大切にしてほしい」と述べたほか、現代のネット社会を食材に例え、「グルメを楽しむのも一つの道だが、新しい料理を作るのも一つの道。N高校に入学したみなさんは、作る側に回って、今までに無かったものを社会に提供してほしい」と語った。
通信制の学校というと、マイナスなイメージがついてしまうことも多い。しかしながら、同校への新入生やその保護者の言葉は、これからの学校生活への希望に満ちたものとなっていた。ダンサーを目指しているという新入生は、「自分がしたいことを応援してくれる環境がいい」と、N高等学校への期待を露わにした。また、ある新入生の保護者は、「自分が好きなことをやりながら将来のやりたいことを探せる学校は、今の社会のニーズに合っている」と、喜びを示していた。
同校は、大学受験対策授業などの一般的な高校の授業のほか、小説やイラスト、声優などのクリエイティブな授業など、さまざまなコンテンツをネット・リアルともに体験できる。在校生として入学式に参加していた1期生の生徒は、「自由度が高いので、自分が本当にやりたいことに時間を使える」と話す。
2018年度はAIの機械学習に重点を置いた授業を展開する。その先駆けとして、入学前に各新入生に配布したメッセージは、AIが新入生ごとのパーソナルデータを解析し、それぞれに異なる内容を送るという、同校らしいものとなっていた。
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