薬剤師の事務負担を削減する「Musubi」が優勝--B Dash Campピッチアリーナ

 B Dash Venturesは、招待制のテックサミット「B Dash Camp 2018 Spring in Fukuoka」を3月15〜16日まで開催している。

 B Dash Campは、第一線で活躍するIT企業の経営者などによる講演やセッション、さまざまなスタートアップが集結するピッチイベントなどを実施。この記事では、ピッチイベント「Pitch Arena」のファイナルラウンドの模様をお伝えする。


Pitch Arenaでは、カケハシが優勝とCaster Biz賞を受賞。JustInCaseがSpecial Awardを受賞

 ファイナルラウンドでは6社が登壇。人材採用の効率化を支援する「HERP」のHERP、研究室単位での購買業務を効率化する「ラボナビ」のインナーリソース、需要予測ができる在庫管理サービス「ロジクラ」のNewRevo、患者に寄り添う薬局を支援する電子薬歴システム「Musubi」のカケハシ、ゲームのブロックチェーンプラットフォーム「yumerium」のSubdream Studios、スマートフォンだけで簡単に加入できる「スマホ保険」のJustInCaseの6社。

 Pitch Arenaで優勝したのはカケハシ。あわせてCaster Biz賞も受賞した。また、Special AwardはJustInCaseが獲得した。カケハシは、薬剤師向けの薬歴管理サービスを提供する企業で、患者の疾患・年齢・性別・アレルギー・生活習慣・検査値のほか、季節や過去処方、過去薬歴を参照し、それぞれの患者に適した指導内容を提示する。

 医者から処方された薬を受け取るだけというイメージのある薬局だが、薬に対するアドバイスや生活習慣まで、より患者に寄り添った指導ができるよう国が方針を変更している。また、Musubiを導入したタブレットで生活改善を案内できるほか、患者への服薬指導中に薬歴を自動で記入可能。薬歴の記入業務にあたっては旧来の管理システムの場合だと1日でおおよそ2時間(患者40人分)ほどかかっていたが、Musubiの導入で15分まで短縮できるという。

 ローンチから4カ月で7000店舗からのリードを獲得しており、日本全国にある6万店舗の薬局のうちの11%に相当するという。また、契約率は60%と高く、今後も高い需要が見込めるとしている。また、薬局に行かずに薬を処方する遠隔服薬指導においても、患者の薬歴情報が必要となるため、社会の変化にも対応できるとしている。


カケハシ代表取締役CEOの中尾豊氏

 JustInCaseは、スマートフォンのみで加入できる保険サービス。同社が提供する「スマホ保険」は、名前と生年月日、スマートフォンの破損状況を鏡を使って自撮りするだけで登録が完了する。また、3カ月更新となっており、スマートフォンの取り扱い状況をもとにAIが判断し、丁寧に扱っている場合は保険料を下げることができるという。

 また、「友達プール機能」を実装。ユーザーの友達と一緒に加入することで、保険料の一定割合を友達プールに積み立てることができる。友達同士で加入することで、保険料を高くしている原因である不正請求を削減し、低価格の保険料を実現する。同社では、スマホ保険のほかにも傷害保険など各保険業への参入も検討しているという。

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