Sansanは3月16日、同社が開催しているイベント「Sansan Innovation Project 働き方2020」において、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」に関する新機能として、「メッセージ」、「一括取り込み/即時データ化」、「Sansan Customer Intelligence」、「スマートレコメンデーション」、「Sansan Labs」の5つを発表した。
Sansan取締役 Sansan事業部長の富岡圭氏は冒頭、Sansanのサービスについて「ただ単に名刺をデジタル化して管理していると思われがちだが、出会いの証である名刺を社内で共有することで、出会いの価値を最大化する究極のプラットフォームを目指している。企業がより生産的かつ効率的、そしてイノベーティブな活動ができるようにさまざまな機能を開発している」と語る。
Sansan事業部 プロダクト開発部 部長/プロダクトマネジャーの藤倉成太氏は、Sansanが提供する3つの価値として「営業のチャンスを広げる」「社員の生産性をあげる」「組織のコミュニケーションを進化させる」を挙げ、「働き方改革の必要性が叫ばれているが、労働の質的な改善が必要」として、ビジネスの出会いをより活用し、新しいイノベーションを生み出すためのツールと説明。新機能はより働き方の革新を進めていくものだとした。
メッセージ機能は、これまでもベータ版として提供していたものに改良を加え、3月に正式リリースしたもの。企業内で社員同士のメッセージチャットが可能となり、名刺を軸にした会話を通して名刺情報の共有が簡単にできるようになる。藤倉氏は「これまでは内線電話を掛けたりメールで問い合わせるような形だったが、チャット機能の追加によって、Sansan内で人脈共有のコミュニケーションの課題が解決する」と説明したほか、今後展開される機能拡張の根幹となる機能だとした。
一括取り込みと即時データ化はスマートフォン版に対応した機能で、これまで1枚ずつの撮影に対応していたが、スマーフォン版でも一度に複数の名刺の取り込みを実現。さらに即時データ化し、その場で名刺情報を活用することができるという。特に、出張先などの出先における名刺の取り込みが便利になる機能となっている。
Sansan Customer Intelligenceは、企業内に散在し、統合できていない顧客データを統合するカスタマーデータプラットフォーム。同社が培った名寄せの技術を活用し、顧客のデータの整理や統合を行い、クラウド上の企業専用データベースとして格納。整理統合したデータは、SFAやCRMツールと連携・反映させることもできるという。この機能は有償での提供を予定している。
スマートレコメンデーションは、名刺のデータ化及び研究を行う部門のDSOC(Data Strategy&Operation Center)が開発したAI(人工知能)を活用した機能で、ユーザーの名刺交換に関する、地域・業種・交換先部署といった傾向を分析し、次に出会うべき人をレコメンドする機能となっている。
具体的には、名刺交換の傾向をSansanが分析し、その傾向にマッチする、社内の同僚が交換した名刺を自動的にレコメンド。そのレコメンドされた名刺に対し、ユーザーは「興味あり」「興味なし」を選択する。興味ありを選択した場合、名刺所有者に名刺情報を紹介できるか否かの確認通知が届き、承諾した場合はメッセージ機能を使って連絡をとることができるというもの。このときの選択をAIが傾向として学習し、よりユーザーの出会いたい人をレコメンドできるようになるという。
富岡氏は「社内に埋もれている出会いを、同僚にとって価値あるものに変えていく。一期一会の出会いをひとつも無駄にしない機能」と説明。また、これまではビジネス人脈は自分から探しに行くことが主流として「経験と勘がものをいう世界だったが、これからは通常の業務を行っているだけで、AIが次に会うべき人をレコメンドしてくれる。また“冬眠人脈”を掘り起こすことも可能」と語った。
Sansan Labsは、DSOCが開発しているプロジェクトから、ベータ版として提供可能な機能を利用できるというもの。企業側からフィードバックを送ることが可能で、それらをもとに機能開発を進め、新機能として搭載させることを目指すという。現段階では「人を知り他人を知り企業を知る」「企業間距離の変遷」「バーチャル組織図」「社内キーパーソンを探せ」の4つを、いずれもベータ版として提供している。
今後の取り組みにあたっては「Sansan University」と題し、国内外の大学や研究機関を連携し、名刺情報をベースとした人と人、企業と企業のつながりの研究を行うという。富岡氏は外部からの知見や新たな気づきを得ることで、よりよいサービスを提供したいとした。
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