「野菜の産地直送」や「1週間ルームシェア」--朝日メディアラボベンチャーズの支援先5社がプレゼン

 朝日メディアラボベンチャーズは3月5日、「朝日メディアアクセラレータープログラム  2018 デモデイ&カンファレンス」を都内で開催。2017年11月に朝日メディアアクセラレータープログラムに採択されたスタートアップ企業5社が、自社のビジネスについてプレゼンテーションした。


朝日メディアアクセラレータープログラムがデモデイを開催

産地直送のオンライン直売所「食べチョク」

 最初のプレゼンテーションに登場したビビッドガーデンは、産直野菜のマーケットプレイス「食べチョク」を紹介した。このサービスでは、農業生産者から農作物を利用者に直送することが特徴で、収穫した野菜や米を農家の手で梱包・出荷し、最短24時間以内にユーザーのもとに届けるのだという。


産直野菜のマーケットプレイス「食べチョク」

 実家が農家だという同社代表取締役CEOの秋元里奈氏は、サービスの背景について「農業は課題の多い業界。中でも小規模の農家は農協などの中間業者以外に農作物の販路がなく、利益が少なく儲からないことに大きな課題意識を持っている。こうした農家は、街に出てきてマルシェなどで直販しており盛況だが、これをウェブで実現したいと考えた」と説明。買取り価格が決められている中間業者と異なり、農家が価格を自由に決めて販売する環境を作ることで利益を上げられ、またユーザーにも鮮度の高い野菜を提供できるという仕組みだ。


農家にとってのサービスの利点を説明する秋元氏

 現在までに100軒ほどの農家が登録しており、購入者からの満足度も高いという。また、朝日メディアアクセラレータープログラムに採択されて以降、クックパッドのアクセラレータープログラムに参画したり、個人投資家からの投資なども受けているとのこと。「今後は小売店、不動産会社、物流業者などとの事業提携を進め、事業を加速させたい。生産と消費の現場を近づけ、農家が正当に評価される世界を作り出したい」(秋元氏)。

商品サンプリングのマッチングサービス「エアカタログ」

 大阪に拠点を置くキャトルは、商品サンプリングのマッチングサービス「エアカタログ」を紹介。このサービスは、サンプリングの実施ができる商業施設やオフィスの利用者属性などをデータベース化し、サンプルを配布したいメーカーの商品と、サンプル配布を顧客への付加価値にしたい商業施設をオンラインでマッチングするもの。商業施設側が配布してほしいサンプルをカタログから選べるのだという。


商品サンプリングのマッチングサービス「エアカタログ」

 同社代表取締役の横町享之氏は、「生活のあらゆるシーンにおいてさまざまな商品を試せて、本当に欲しいと思えた商品を購入する世界を実現したいと考えサービスを開始した。サンプリングは昔から行ってきた販促手法だが、実施までの手間やコスト、サンプルを手に入れて転売する“サンプルゲッター”と言われる人々の登場など、さまざまな課題を抱えている」と説明。中間事業者を省くことで時間と労力を省き、メーカーと配布施設を直接つなぐことで効果的なサンプリングを短時間で開始できるとした。


キャトル代表取締役の横町享之氏

 横町氏によると、これまで美容、食品、飲料などの領域で大手企業がサービスを導入しているほか、配布できる施設からもこれまでに1万5000のアカウント登録を集めているという。ビジネスモデルとしては配布を希望するメーカーからサービス利用料を得る形をとっており、配布施設には無料で提供しているとのこと。横町氏は「国内の消費財メーカーの約78%がサンプリングを行っており、高いマーケットポテンシャルを持っている」と、今後に向けた期待を語った。

情報量の多さにこだわった中学受験向けメディア「中学図鑑」

 受験生向けのメディア事業を展開している教育図鑑は、中学受験向けオンラインメディア「中学図鑑」を紹介。同社代表の矢野一輝氏が、他の受験情報メディアとの違いについて説明した。


中学受験向けメディア「中学図鑑」

 中学図鑑は学校ごとに個別のページを用意し、受験生とのマッチングをはかるメディアだが、矢野氏が強調したのはその情報量の豊富さだ。矢野氏は、「受験生には学校を慎重に細かく比較して選んでほしい。そのためには情報提供が必要だが、従来のメディアは学校選びに必要な情報を充分に提供できているか」とサービスの背景にある課題を提起する。

 ある大手出版社の受験情報書籍が1校あたりに用意している情報項目が27項目、ウェブメディアではそれが11項目とさらに少ないのに対して、中学図鑑では400項目の情報を網羅しているのだという。授業で使う教材の紹介、通学路を紹介する動画、卒業生や学校関係者へのインタビュー、生徒の授業ノート紹介など、他のメディアでは取り上げないコンテンツを載せているほか、すべての学校に同じ質問をすることで比較検討がしやすくなっているのだそうだ。


教育図鑑代表の矢野一輝氏

 現在、384校が情報を掲載しているほか、朝日こども新聞をはじめ、中学受験に関心の高いユーザーが集まるメディアを通じて集客を行い、小学生会員は4万8000人に。首都圏1都3県の小学2年生から6年生の9.4%が利用している計算になるのだという。ビジネスモデルは学校からの情報掲載料となるが、これについて矢野氏は「教育業界の広告宣伝費は3800億円市場と言われており、そのうちネットは220億と言われている。それが2020年には960億に拡大する見込みで、そのタイミングで大手が参入してくる。だからこそ、今ビジネスを拡大したい」と展望を語った。

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