登録仮想通貨交換業者16社は3月2日、資金決済に関する法律第87条に規定する認定自主規制協会の認定を目指すため、新たな一般社団法人を設立することで合意した。
仮想通貨関連では、マウントゴックス事件やコインチェックによるネムの不正流出など、取引所のセキュリティ体制や運営体制に関する事件が増えてきている。同団体では、技術やセキュリティをはじめ、内部管理体制に対する取り組み、取り扱い仮想通貨、ICOなどの線引、ガイドラインの制定などの自主規制を手がけていく。また、詐欺コインも増えており、ホワイトペーパーなどの整備、システム障害、入出金のトラブルといったユーザートラブルへの対応も強化するという。
現在、国内の仮想通貨関連の業界団体は一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)と一般社団法人日本仮想通貨事業者協会(JCBA)、ブロックチェーン推進協会(BCCC)が主な団体として活動しているが、今回の新団体は、金融庁による仮想通貨交換業の登録を受けた事業者のみが加入する。認定団体となると、今後、交換業登録を受けた事業者は同団体に加入する必要がある。
新協会の名称や所在地、設立・認定申請時期などの詳細についてはまだ決まっていないものの、最短で1カ月後での設立を目指す。また、新協会の会長にはマネーパートナーズ代表取締役社長兼JCBAの代表理事である奥山泰全氏、副会長には、ビットフライヤー代表取締役社長兼JBA代表理事の加納裕三氏が就任する。
認定団体となることで、自主規制に対しての強制力を持たせることができ、自主規制の違反があった場合に、ペナルティを各業者に与えることができる。奥山氏は「認定という言葉は非常に重たい言葉、それを取得できるだけの体制とガバナンスが必要になる」とした一方で、「必要以上に強制力を発揮する団体になってはならない。今回の団体はそのバランスを見ながら、利用者と業界の健全な発展を目指す団体と思ってほしい」としている。
また、加納氏も「仮想通貨に出会った2010年や2014年のマウントゴックス事件の時とはだいぶ様子が異なっており、今では多くの人に認識され、注目されている。公共性や信頼される業界が求められている」とし、「(コインチェックの件など)非常に残念な事件があったため、そういった問題が起らないように信頼を回復していきたい」と述べ、ブロックチェーン技術について、技術的なイノベーション、規制のあり方を今後議論していく場になるとしている。
投機的側面が強くなっている仮想通貨についても、奥山氏は「仮想通貨はブロックチェーン技術と切り離せない。技術とお金の面の両輪で発展していくべき」とし、「ビットコインの高騰、大幅下落にあるよう、いささかマネーゲームの面もあり、注意喚起や業界の健全なフレームワークの設立が求められている。Fintechやブロックチェーンが注目された理由はイノベーションにあったはず。仮想通貨市場が一過性のマネーゲームに終わってしまっては、次世代のイノベーションにつながらない」とした。
新団体の設立にいたるまで、JBAとJCBAでは団体統合の交渉を2年ほど前から重ねてきたものの、時間的制約もあり、結果的にはJBAとJCBAは今後も別の団体として存続し、別途新団体を立ち上げる結果となっている。加納氏は「どちらも認定団体として活動しており、生い立ちや理念も異なっている。それゆえ、ひとつにまとまらなかったのは事実だ」としつつも、「ここで業界が一つになるターニングポイントとなる。今後はどこの団体かということはなく、業界の健全な発展、イノベーションについて前向きに議論したい」としている。
奥山氏も、「片方はお金についての規制を作る団体、片方はブロックチェーン技術を推進する団体、そこで論点が分かれていた」とし、「今回は資金決済法に関する認定に沿ったもので、登録を受けた交換業者の足並みを揃えていく。技術など必要な部分は、しっかりと共有・連携できるような状況を作り上げていきたい」とする。奥山氏は、JBAが持つブロックチェーン技術についても連携を深めていくと述べた。
今回加盟する16団体は、マネーパートナーズ、QUOINE、bitFlyer、ビットバンク、SBIバーチャル・カレンシーズ、GMOコイン、ビットトレード、BTCボックス、ビットポイントジャパン、DMM Bitcoin、ビットアルゴ取引所、エフ・ティ・ティ、BITOCEAN、フィスコ仮想通貨取引所、テックビューロ、Xtheta。なお、同じく仮想通貨に関連する業界団体のBCCCに関しては特に関与はしていないようだ。
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