スカパーJSATは2月8日、2018年3月期第3四半期累計の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7.3%減の1094億円、営業利益は同22%減の121億円、四半期純利益は同16.2%減の86億円となった。多チャンネル放送のメディア事業の加入件数減に加え、宇宙・衛星事業の減価償却費の増加などから減収減益となった。
メディア事業は、サッカー関連のコンテンツの収入がマイナス49億円になったことをはじめ、視聴料収入がマイナス25億円、基本料その他の収入がマイナス15億円になり、売上高は前年同期から89億3000万円減の801億円で、Jリーグの放映権移動が大きく響いた。
新規加入者は26万3000件を獲得しているが、累計純増数は8万1000件のマイナスになり、通期目標である新規加入件数39万件、純増数1万件の達成は「厳しい状況と理解している」(スカパーJSAT 代表取締役執行役員社長の高田真治氏)と話す。
ただ、2017年末からスタートした「新基本パック複数台無料キャンペーン」は好評で、12月、1月における加入件数は、対前年比で147%となる9万341件を獲得。「通常2、3台目のテレビで視聴いただくには、基本料(月額3672円)の半額をいただいているが、キャンペーン期間中は半額の1836円が0円。リビングだけでなく、家族がそれぞれの部屋で楽しめる視聴できる環境を整えやすくすることで、サービスの向上につながると思う」と成果を話す。
また「複数台契約いたいだいてるお客様の解約率は1台のみに比べ低い。家族で長くスカパー!を楽しんでいただけると思っている。今回のキャンペーンは、有料の映像配信サービス、ケーブルテレビなどに比べ、有利だと考える。今後もスカパー!ならではのサービスを追求していくことが大事」とスカパー!ならではのサービススタイルを打ち出していくとした。
2017年12月にスタートした「スカパー!ハイブリッド」サービスは、現在、14万人超のユーザーが利用しており、高田氏は「良いスタートが切れた」と振り返る。リモコンの「dボタン」から放送中の番組と過去に放送した見逃し番組やイッキ見などが見られるサービスで、ハイブリッドキャストの新たな使い方として業界内からも注目を集めているという。「今後は対応チャンネルを増やしてテレビ番組視聴の利便性を上げ、加入基盤拡大を目指す」(高田氏)と期待を寄せていた。
一方、宇宙・衛星事業は、放送トランスポンダの収入減などから、売上高は前年同期比5億1000万円マイナスの374億円。国内通信事業は堅調に推移したが、放送トランスポンダの収入が落ち込んだ。
今後は、HTS衛星で携帯基地局向けのバックホール(携帯電話と基幹通信網)回線の利用を拡大していくほか、航空機向け衛星回線の需要拡大に対応していくことで、事業の拡大を図る計画。またパートナーシップを結ぶ米国KVHとの協業体制を強化することで、船舶向け次世代高速通信サービスなどにも取り組んでいくとした。
スカパーJSATでは、2018年3月期通期の連結業績を、売上高は前年比11.1%減の1715億円、営業利益は同30.4%減の170億円、計上利益は同29.6%減の175億円、当期純利益を同34%減の115億円と予想している。
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